ハッピーエンド12 ページ12
すると、彼は今日初めて顔を柔らかくし笑った。
「だろうねィ、あんたには似合わねぇ内容だ」
…これは、怒るべきなのだろう。
なのに、何故か嬉しい。
本当は、私には可愛らしい内容は似合わないって失礼じゃないですか、くらい言ってもいいはずなのに。
私のことを理解してくれた彼に、なぜか喜びを感じてしまう。
「…あ、あっち行きましょ。沖田さんにオススメの本があるんで」
動揺しながら、先に進む私。
後からダラダラと靴を鳴らしながら歩いてくる音が聞こえる。
目当ての本を探すため、少し前屈みになりながら指で本の背をなぞっていく。
「あ、これです」
隣でポケットに手を突っ込みながらボーッと見ていた沖田さんに、ここだと指を指す。
すると、彼はグッと距離を寄せ、その本を見るため私の肩に自身の肩を触れさせた。
ち、近い近い近い…!!!
「へー、サスペンスですかィ」
耳元で囁かれる、低音の声。
静かにしなきゃいけないからと気を使っているのが、むしろ私には良い意味で迷惑だった。
心臓がもっと早く走ってしまうから。
「じゃ、それ買います。会計行ってきますねィ」
「え、ちょ、本当にそれでいいんですか」
「Aさんが選んだ本じゃあ、当たりでしょう」
そう言い残すとスタスタ行ってしまったので、彼の背中を見つめることしか出来なかった。
即決。
しかも私がおすすめした本。
あんな言われ方したら、嬉しいに決まってるじゃないか。
一人で頬を赤く染め待っていると、手に青い一冊分サイズの袋をぶら下げた沖田さんが戻ってきた。
「じゃ、次は休憩ですかねィ」
☕
オシャレなカフェ。
これは、そう言うしかない。
アンティークな内装、沈むソファ。
クラッシックが遠慮がちに流れていて、木材の香りがする。
そんなカフェに、沖田さんが連れてきてくれた。
既に注文し届いたコーヒーをズズッと飲む沖田さん。
私は目の前に置かれたカフェラテの泡をじっと見つめていた。
落ち着かない。
こんなカッコいい人が目の前に座っていて、優雅にコーヒーを嗜んでいる。
無駄に大人らしいカフェの雰囲気も余計に煽り、沖田さんが色っぽく見える。
「普段こんなとこ絶対に来ないんですけどねィ。ま、デートなんで」
またもでてきた「デート」という単語。
どこまで私をドキドキさせたら気が済むのだろう、この人は。
そしてどこまで素直なんだ。
本音がダダ漏れだ。
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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時