sweet motion (ページ18)

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“俺が帰ってくるまでええ子で待っててな”

玄関先で彼を見送るわたしの頭にぽん、と手を乗せて、関西弁混じりの彼はそう言い残して仕事に向かった。

A「…暇だなぁ」

わたしがいる最上階からの広い眺めの景色にはもう慣れて、飽きたくらい。

彼氏の紫耀が最上階を購入したのには理由がある。
まずはセキュリティや防犯の面。
アイドルとして、たくさんの目に触れる機会がある紫耀は、プライベートを大切にしたいようで、セキュリティや防犯の面でも強い最上階は必須条件だったようだ。

もう1つの理由。
それは、『わたし閉じ込めることができる』ということ。

実はもう、紫耀が購入した高層マンションに閉じ込められて2ヶ月は経っているし、コンシェルジュには家に誰も通さないよう、紫耀から連絡が行っている。
だから私が自ら外に出ない限り、誰かが私を連れ出してくれるという機会もないのだ。

“俺が帰ってくるまでええ子で待っててな”
の意味は、家から出るな、ということ。