Coffee & Cream III (ページ2)

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北斗side

映画の舞台挨拶が終わって、やっと
Aちゃんに会えた華金。

まぁ、俺たちの業界には華金とか
ないんだけど、愛しの彼女に会える日は
毎日華金だよね。

長い付き合いになるとお家デートも
特別なものじゃなくなってくるけど
マンネリ化したことはない。

俺か彼女が仕事帰りに買ってきた
ご飯やスイーツを食べながら話したり。

最近話題の恋愛ドラマをキャーキャー
言いながら鑑賞するAちゃんを
見ながらお茶飲んだり。

お風呂上がりに夜風を
浴びながらアイス食べたり。

MRの勉強してる彼女の隣で
本とか台本読んだりしたり。

可愛い彼女に対して愛情が溢れちゃって
勉強中にキスしてやめて、って
止められたり。

もちろん、その忠告を無視して
それ以上のことをしたり。

とにかく頻繁に会ってなくても
楽しい日々を送ってるわけなんだけども
今日はどこか様子が違うAちゃん。

共演者の方に勧めてもらったケーキ屋さんで
彼女が好きなケーキを買ってきて、それを
食べながら会話が一段落ついた時、
改まって俺の方に体を向けた
Aちゃん。

『北斗くん』

「ん？」

『北斗くんてさ…
やっぱり大きい胸の人が好き？』

「はい？」

『いや、ほら、大きい方が好き
って聞くからさ。北斗くんは
どうなのかなーって思って』

「えらい急な話だね(笑)」

思ってた想像の斜め上をいく質問。

「うーん… 俺は
気にしたことないけど？」

『えーそれは嘘』

「なんでなんで(笑)本当よ？」

不満げに首を傾げてる。

見ていた携帯を置いて
Aちゃんの方に体を向けるけど
一向にこっち見てくれないから
ちょっと意地悪しちゃおうかな？

俯いてる彼女の両頬を持って
顔を上げるとやっと目線が合った。

『カフェにいた時に樹くんと北斗くんが
“胸周りは大きい方がいいよねー”って
言ってるの聞いちゃったから…』

あー、これは勘違いしてるパターン
だけど、そんなAちゃんも
可愛いから訂正せずに進めてみる。

「あー…はいはい、覚えてるわ」

『それに私、ほら… 胸小さいから
北斗くんはどう、思ってるのかな
って思って…』

語尾がだんだん小さくなって
しまいには手で顔を覆っちゃった。