片思いエスプレッソ -Kei.I-

milk…5 ページ5

You side









A「この時間ダメだね」



大貴「カップラーメンいっぱいあるよ！」



A「体壊すでしょ、ばか。」






しゅん、と落ち込むお兄ちゃんの腕を引っ張りながらカートを押す。

制服のまんま来ちゃったから動きにくいし、そのくせお兄ちゃんはジャージだから無駄に動くし。







大貴「…あ、あれ山田じゃね？」




A「…！」







独り言のように大貴の口から発せられた言葉は、私の胸にどしんとのしかかってきた。

い、今…山田っていった？




ふとお兄ちゃんの指が示す方を見ると、そこに居たのは同じ学年の山田くん。

サッカー部で、お兄ちゃんの後輩に値する彼。

少しだけ、ドキドキした。






涼介「あ、大ちゃん！」



大貴「おい有岡先輩だろそこは！」



涼介「大ちゃんは大ちゃんだよ」






後輩から"大ちゃん"と呼ばれて親しまているお兄ちゃん。まぁ人気があるようで。






涼介「…と、有岡じゃん」



A「お、お久しぶり……です」



涼介「ははは！おもしれぇな、お前」



大貴「俺の大事な妹にまで手出すなよ？」







大事な妹に"まで"

その言葉が少しひっかかるものの、今の私はそんな場合じゃない。

制服にパーカーを羽織った彼を見るのがしんどい。



別に、恋じゃないんだよ。

私には届かない所にいるから。







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