片思いエスプレッソ -Kei.I-

milk…16 ページ16

You side







A「今日も部活？」



春香「大会近いから忙しいんだよね、」




へへっと笑う春香はこう見えてテニス部副キャプテン。身長も高くてスポーツもできるなんて、羨ましいなとか思いながら部活へ行くその後ろ姿を見送る。







A「何しよう」








山田くんが部活終わるまではあと20分くらいある。
少し様子を見に行ってみようかな…とただの好奇心に駆られて、私は教室を出た。


夕日が眩しく私を照らした。
……まるで、あの日のように。



あの日……

伊野尾先輩と初めて会った時……





なんだか嫌な予感がする。






生徒会室がある本館を避けるように階段を降りようとした、その時。







A「わぁ、！」








空き教室から伸びた白い手が私の手首をがっちりつかみ、私は空き教室に引きずり込まれた。









A「……せ、先輩」








キュッと瞑っていた目を開けると、明らかに不機嫌そうな伊野尾先輩の顔。

伊野尾先輩は、両手で私の頬を包み込み上から見下ろす。







A「な、なんですか…………」








ゆっくりゆっくり、近づいてくる伊野尾先輩の顔。








慧「嘘つくなんて悪い子だね？








.







.









…………A」







耳元でそっと呟かれたソレは、
私の頭の中でぐるぐる回る。



力が抜けて、膝からカクンと崩れそうになるのを伊野尾先輩は私をぎゅっと抱きしめるようにして支えてくれた。







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