この子、彼氏じゃなくて夫です【松野千冬】

しゅきぴ33 ページ34

千冬side


『、！』


困ってる。

瞳がどうしようって困ってて、すぐさま抱きしめたくなった。


さっきの首の痛みとか考えてるのだろうか。
でも、だいぶ強く噛んだから鎖骨と首相当痛かっただろうな。

彼女には申し訳ないけど、痛がってる表情とか甘いキスでとろんってしてる顔とかクセになりそう。


今ここで彼女の顔を誰にも見せたくないくらいにかわいい。



いつまでも返事を待ち続けてる俺に痺れを切らしたのか、Aは自ら近づいてぎゅっと抱きついてきた。
頭をすりすりって胸に擦り付けるから、意地悪する予定だったけどぎゅ、と抱きしめる。


お日様みたいな匂いが鼻をくすぐる。彼女の匂いだ。



『千冬くんだいすき』



へにゃ、って顔を緩ませるA。
彼女の笑顔、かわいいのほんとにずるい。


目尻がちょっと下がって、いつもの大きいおめめを少し細めて。
柔らかく笑うAの笑顔はいつでも心臓に悪い。




俺がAの顔を近づけると、彼女はそっと目を閉じる。

唇をなぞるとかわいい声が吐息と共にもれた。



「ん、かわい」



彼女の髪をサラリ耳にかきあげ、顔を近づける。

あと数センチ、というところでAのほっぺたをむぎゅっと摘んだ。



『、ちふゆくん？！』



流石にびっくりしたのか、Aは目を開けて瞬き。
驚いて声を出すAだけど、ほっぺたを摘まれているからかうまく話せていなかった。



「Aのキス顔かわいい」

『、？！通りで遅いなって…！！』

「俺キスしたいって言ってないし」




わかりやすく顔を染めて、恥ずかしいのか怒ってるのかわからない表情でこっちを見つめてきた。
ふは、なにその表情。


Aの耳元で1つ





「期待した？ばあか」




って囁いてあげると、怒ったようにお腹をぽこぽこ殴られたので、耳にちゅ、と短いキスを落としてやった。




『余裕たっぷりなのムカつく……』

「俺余裕はねぇよ」





・

しゅきぴ34→←しゅきぴ32

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す