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ある日の放課後、今日は三橋くんと一緒に帰れる日。るんるん気分で彼の隣を歩き下駄箱に向かう。
自分の下駄箱を開けると、そこにはひとつの手紙が入っていた。...何だろう。
三橋くんにバレないようにそれを開いてみる。そこには、体育館裏に来てくださいとだけ書かれていた。それも女の子の字。
「A?どした?」
なかなか靴を履き替えない私を不思議に思ったのかそう三橋くんが言う。私は慌てて手紙を隠して笑顔を作った。
「あのさ、ちょっと教室に忘れ物しちゃったから取ってくる!校門前で待っててくれる?」
「ん、5分で来いよ」
なんて巫山戯たように言うと三橋くんは下駄箱から離れていく。それを確認して私は靴を履き替え体育館裏へと急いだ。
わざわざ手紙を書くってことはそれなりに大事な用事なんだろう。もし誰にも知られたくないことだったらあれだし三橋くんには嘘をついた。
体育館裏に着くと、そこには女の子が3人いた。彼女たちは私に気が付くとこっちに近寄ってくる。
「えっと...何の用、かな?」
「とぼけないでくださいよ、分かってるでしょ?」
「う、うん?ごめん何も分かってないんだけど...」
見た感じこの子達は後輩。あんまり強く言いたくないけど、状況が全く掴めない。
「先輩、三橋さんと付き合ってるんですよね?」
「あぁ...まぁ、そうだけど」
「全然釣り合ってないですよ?あなたみたいな人が彼女だなんて三橋さん可哀想〜」
...なるほど、この子達は三橋くんの事が好きなんだ。私に別れて欲しいわけか。
でも残念ながら別れるつもりは一切ない。そう思いながら言い返す。
「釣り合ってないことぐらい分かってるからわざわざ君達が言わなくていいよ。三橋くんが可哀想とか、彼はそんな風に言われたくないと思うけど」
「なっ...何よ生意気に!!あんたみたいな人より私の方が三橋さんとお似合いなんだから!!」
そう怒ったように言う黒髪ロングの子。自分に自信があるんだな、なんて呑気に思う。
「アンタなんて、いなくなればいいのに、」
「ちょ...っ!?」
急に腕を引っ張られて体育館倉庫前に行くと、体を強く押される。思わず床に倒れ込むと、彼女たちの甲高い笑い声がその場に響いた。
「暫くそこで反省しててくださいね?」
「や、待って!!!」
私の声は彼女たちに届かず、扉は無残にも閉められてしまった。
...どうしよう、これ。
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ソウ - はじめまして!ソウです!読ませていただきました!めっちゃ面白かったです!これのおかげでまた今日から俺は大好きになりました!ありがとうございます!!( ≧∀≦)ノ (2019年8月21日 20時) (レス) id: 8344a9dd37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月30日 14時