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廃工場を出てしばらくして思い出した。三橋くんに、謝らないと。
「...三橋くん、ごめんね」
「あ?何が」
「今も迷惑かけたし、その、私、叩いちゃって...」
「...別に気にしてねーよ」
三橋くんはそう言って笑うけど私が気にしてしまう。私は小さな声で話を続けた。
「三橋くん、口聞いてくれなかったし、嫌われたんじゃないかって、思って...っ」
「え、ちょ、泣くなって!嫌ってねぇから!!つーか嫌うわけねぇだろ!!」
「っ...だって...」
我慢してた涙がポロポロ零れてしまう。それを見て三橋くんは焦ったように私を抱き締めた。
「...A、俺が悪かった。だから泣くな」
「うん...っ」
三橋くんにぎゅっと抱き着いてそのまま泣き続ける。それでも三橋くんは嫌そうな素振りを見せず、優しく頭を撫でてくれた。彼なりの慰めにまた涙が溢れてくる。
それでも少しして何とか涙が止まってくれた。
「...三橋くん、もう大丈夫」
「お、おう。...ふ、お前目真っ赤だぞ?」
「え、嘘!」
そう言われて反射的に顔を逸らす。そんな不細工な顔、三橋くんに見せられない。
「何顔逸らしてんだよ、こっち見ろ」
「や、やだ!今の私めっちゃぶすだもん...」
「...いーから、顔見せろって」
そう言うと三橋くんは私の頬を掴み無理矢理目線を合わせてきた。
「ちょ...!!」
「...何だ、いつも通り可愛いじゃねぇかよ」
「...えぇ!?」
「なんてな!ほら、早く学校戻るぞ」
「え、ちょ、どういうこと!?」
三橋くんはパッと手を離し私から離れると先に歩き出す。
何が何だか分からない私は慌ててそのあとを追った。
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ソウ - はじめまして!ソウです!読ませていただきました!めっちゃ面白かったです!これのおかげでまた今日から俺は大好きになりました!ありがとうございます!!( ≧∀≦)ノ (2019年8月21日 20時) (レス) id: 8344a9dd37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まるる。 | 作成日時:2019年4月30日 14時