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Ren side
共同企画の仕事がひとまず終わり、ますますAさんとの接点は無くなった。
連絡も特にしていない。
なんとなく、望まれていないような気がしたから。
そう思っているはずなのに、何か連絡することはないかとか考えてしまう自分がいる。
「なにやってんだ、俺…」
気付いたらAさんのことを考えていることが増えていることに、とっくに気付いてしまっていた。
あともう少しで仕事のキリが良くなるからと、自主的に残業を始めた夜。本腰入れてやる前に気分転換しようと、飲み物を買いに出た。
まばらに見える人の中に、すっかり見知った人影を見つける。
「岩本さん。お疲れ様です」
「おー、おつかれ。目黒も残業？」
「はい」
岩本さんは手に持っているペットボトルの蓋を開けて一口含む。それを横目に自分も自販機のボタンを押して、取り出し口へ手を伸ばした。
「あの、」
「ん？」
「Aさん、元気にしてますか」
俺の言葉に飲む手がピタリと止まった。
「立て込んだ仕事が大体終わったから元気なんじゃん？今日なんか喜んで定時で帰ったし」
思い出したように笑って言っているけれど、心なしか探られているような気配を感じる。
「連絡してないの？」
「最近は特に…」
「そっか」
暫くの沈黙のあと、聞くなら今しかないと思って口を開く。
「岩本さんはAさんのこと、好きなんですか」
「え？俺？」
心底、想定外の質問だという顔をしてこちらを見た。
「違ったらすみません」
「……いや」
「好きだって言ったら？」
その目に狼狽えた。
「まぁ、でも目黒には関係ないか」と岩本さんは続ける。
「Aのこと女として興味ないんでしょ？」
「え…」
「悪いな。聞くつもりじゃなかったんだけどAが言ってた。だからあんまり気を持たせるようなことするなよ。俺もそろそろ本気出したいし？」
この瞬間に確信した。
俺は…。
「その言葉、前言撤回してもいいっすか。ていうか、そんなこと一言も言った覚えはないんですけど」
岩本さんは優しい顔をしていた。
「それは俺に言うことじゃないだろ」
「勝手に色々とすみません」
「おー」
「俺、そろそろ行きます」
「俺も戻るわ」
仕掛けられたのかもと思ったけれど、もうどうでも良かった。
今日の残業も、もうどうでもいい。
「世話の焼ける奴らだな」
先に戻る俺の背中に向かって放たれた言葉なんて、知る由もなかった。
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ありぃ(プロフ) - るるさん» コメントありがとうございます！嬉しい言葉ばかりで感激しております。。。しかももう３回も読んでくださっているだなんて、感謝しても足りないくらいです。いつでもここの黒さんが癒しますので、またいつでも来てくださいね。こちらこそありがとうございました！！ (2021年12月19日 1時) (
レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
るる - めちゃくちゃ好きなお話でした。描写も細やかで、すごくイメージが出来ましたし、黒さんのセリフも絶妙でした。すでに３回読み返して、噛み締めております。素敵な小説を、ありがとうございます！！ (2021年12月18日 22時) (レス) @page33 id: 5db6c5f68c (このIDを非表示/違反報告)
ありぃ(プロフ) - まあさん» 初コメントいただけて感動しております…！ありがとうございます。説明文過ぎるかなぁとか、キュン要素はあるのか？とか自問自答しながら書いておりますが、最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。お気遣いもありがとうございます！ (2021年12月11日 16時) (レス) id: 0d9038abf3 (このIDを非表示/違反報告)
まあ - 登場人物がそれぞれ魅力的で人間味があって、いつも楽しく読ませていただいています。毎日更新が楽しみでもあり、ありぃさんの負担になりませんように、と思っています。 (2021年12月11日 9時) (レス) @page27 id: c7a497417a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ありぃ | 作成日時：2021年11月24日 23時
