その声に耳を澄ませて【黒】

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一旦はもう間に合わないかと思った企画書が完成して、少し穏やかな時間が流れ始めた頃。

理由は全くもって分からないけれど、目黒くんからの連絡が突然来るようになった。
それはもう、それこそ仕事の内容なんかではなくて。



〈今日のお昼ご飯は何食べました？〉

とか

〈新しくバッグを買おうと思ってるんですけど、紺と黒で迷ってます。どっちが似合いそう？〉

とか、写真が送られてきたりする。




一番初めは送信相手を間違えたのかと思って、そのままにしておいたら、

〈既読無視するなら電話しますよ〉

と、脅しとも取れるような言葉が送信されてきて慌てて返信した。




一体何が起こっているのだろう…。







そういえば企画書を渡しに行った時も、何だか妙なことを言われた。
話し始めた時は何だか元気が無さそうな感じだったのに、突然頼ってもいいかなんて聞いてきて。


何か仕事で悩んでいることでもあるのかな…？

目黒くんに好意があることを知った上で今の関係があるから、変に誤解されなくて付き合いやすいと思われているとか…？


でもそうだとしたらこれからだって、悲しいけれど気を遣わないで済む先輩後輩という仲からは抜け出せないということ。

そうだとするならば。
もういっそのこと、恋慕するこの感情を捨ててしまいたい。






私の悶々とした感情とは裏腹に、彼からの連絡はコンスタントにやってくる。


ある日。

〈相談に乗ってもらえませんか〉

と、この頃にしてはかしこまった内容が送られてきた。
内容如何によっては相談に乗りづらいこともあるな…と思い、何と答えようか考えあぐねていると


〈大丈夫です。仕事の話です。Aさんのアドバイスが聞きたくて〉



見透かされたかのように、もう一通送られてきた。

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