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「Aはまだ、俺のこと申し訳なかったって思ってる？」
スンチョルさんが夜空に呟いた。私はその言葉に、僅かに頷く。
「でも、俺にとってはすごく…意味のある3年だったし、落ち込むだけ落ち込んで今は納得してる」
「…………」
「そのことだけ、Aにずっと伝えたかった」
彼はそう言うと、ふふっと可愛らしい笑みを見せて、こちら側に体を向けた。
「スンチョルさんの優しさに何度も救われましたけど…また、救われました」
「俺はそんなに優しくないって。そうやって考えられるお前がいい子なだけ」
肩を小突かれて笑う。そろそろ戻ろうか、と提案してくれたスンチョルさんの提案に頷いた。風がゆらりと私達の服を揺らす。
その風に流されるように、視線を移すと見覚えのあるスニーカーが見えた。
そのまま視線を移すと、さっきまで楽しそうにお酒を飲んでいたはずの人が来ていた。
立ち止まった私とは正反対に、スンチョルさんはミンギュの肩に手を置いていってしまう。
「…さっきヒョンとのジャンケンに負けたから、ちょっとだけ二人で話してもいいよって俺が言った」
スンチョルさんが行ってしまった後に、ポケットに手を突っ込んだミンギュがこちらに来ながら教えてくれた。
「まさか、今だとは思わなかったけど」
ぽつりと呟いて、私の隣に来た。随分お酒を飲んだのか、焼酎の匂いがする。
「…でも、なんかあんまムカつかないな、なんでだろ？」
「さっきはムカついてたの？」
「うん、シュアヒョンと楽しそうにしてた時はムカついて焼きそば山盛りしたもん」
何それ。それであんないっぱい渡してきたの？可笑しくて笑ってしまう。
ミンギュが私の顔を見て、とろんと蕩けたような笑みを見せる。
「でも美味しかったから全部たべたけどね」
「知ってる。俺、Aのそういうとこ好きだよ」
そう言って頬をつつかれた。まったく、調子のいい人だ。
「…それって食いしん坊なところってこと？」
「それもだけど…なんて言うか、負けず嫌いなとこ」
眉をひそめながら考えるようにミンギュが伝えてくる。ねえ、それって褒めてる？貶してる？結構グレーだと思う。
目の前に広がる海も忘れて、いつも通りの会話が紡がれる。この温度が心地よくて、この人の隣が好きだと思う瞬間。
「ちゃんと褒めてるって！」
「はいはい、ありがとう」
必死に言ってくるミンギュに何度か頷くと、彼は目を細めて笑った。
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夏目(プロフ) - エルさん» エルさん、いつもいつも本当にありがとうございます(；；)一番試行錯誤した会社員ミンギュの現実感をお褒めいただけて胸がいっぱいです…！本当にいつも、私の伝えたいことや拘りを綺麗な文章にしてコメントを下さり、ありがとうございます！次作も頑張ります！ (2021年10月16日 21時) (
レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - まずはお疲れさまでした！繊細な感情のゆっくりとしたステキな描写が大好きだったので寂しい気持ちもあり、幸せな2人を見て満足な気持ちもあり^_^会社員のミンギュになんか現実感満載で←これ凄い 更に楽しめました！ありがとうございました^_^新作楽しみにしてます！ (2021年10月16日 2時) (レス) id: 2a8565ccfe (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - あやちょるさん» あやちょる様、定期的にコメントしてくださりありがとうございました！そう言っていただけて、本当に嬉しいです。こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございました(；；)次回作も頑張ります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。最後まで楽しんでいただけてとても嬉しいです。私もまる様のコメントに安心して、心温まりました…次回作の応援までありがとうございます。これからも励んでまいります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
あやちょる(プロフ) - 最後までお疲れさまでした。更新が毎回楽しみな作品でしたので、終わってしまうのが寂しいですが…素敵な時間をありがとうございました!新作も楽しみに待ってます! (2021年10月15日 16時) (レス) @page50 id: 702326c54a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏目
| 作成日時：2021年8月30日 7時
