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帰宅した後、すぐにシャワーを浴びてドレッサーに向かった。化粧水を手に取りながら、今日あったことを思い出す。
パックをしているとスマホが鳴った。
カトクのメッセージ通知は、ミンギュからだ。
『おやすみ』
たったそれだけのメッセージに、顔が綻ぶ。さっきまで一緒に帰って、直接おやすみって伝えてくれたのに。
ミンギュの心の中を教えてくれるみたいで、暫くその文字を見つめてしまった。
私も、いい加減認めればいいのに。私の心は既にミンギュでいっぱいで、他に誰も入る余裕なんてないと。
ようやくカトクを開いて未読マークを消す。
『今日もお疲れ様。おやすみなさい』
送ると、すぐに未読マークが無くなった。私の返信を待っていたみたいだ。
「え」
驚いて声が出てしまった。トーク画面が着信画面に変わったから。
動揺したまま勢いで応答のボタンを押してしまった。
『起きてた？』
電話の向こうでクスクスと笑うミンギュ。ミンギュからかけてきたのに。
「1時間前におやすみって言った気がするけど」
そう答えながら、ドレッサーから立ち上がりソファに腰掛けた。
『でもまだ寝てないじゃん』
ミンギュは、私の気持ちが読めているのか読めていないのか、ゆらゆらと揺れている船に覆い被さる大きな波のように言ってくる。
「そうだね」
『へへ』
電話してきた割には眠たそうなミンギュの声に、私まで眠たくなってきた。
ふわふわとした感覚でこんな時間にする必要のないくだらない会話をする。
隣に彼のいる日常が好きだと思った。
「そろそろ寝なよ」
欠伸をしているであろうミンギュに言うと、曖昧な返事が来る。
『ん〜…あと3分だけ話そ』
「3分？」
『うん、3分』
きっと疲れ切っているミンギュと私の限界は本当にそれぐらいだと思う。いいよ、と答える。
『さっき、考えてくれるだけでいいって言ったけどさ』
「…うん」
ミンギュが少し黙った。私は静かに彼の答えを待つ。
でも、残りはきっとあと2分。
『やっぱりそれだけじゃ、十分じゃない』
「……」
『俺は、Aの答えが欲しい』
どうしても伝えたかったから電話したんだって呟いたミンギュの表情が浮かぶ。
これからも、ミンギュといたい。
そう答えたかったけれど、もう3分経ってしまった。
『…あ、3分て早くない？』
「そっちが言ってきたんでしょ」
『そうだけどさぁ、……まあ今日は寝よっか』
ふふっと笑う声が聞こえる。
『A、おやすみ』
「おやすみ」
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夏目(プロフ) - エルさん» エルさん、いつもいつも本当にありがとうございます(；；)一番試行錯誤した会社員ミンギュの現実感をお褒めいただけて胸がいっぱいです…！本当にいつも、私の伝えたいことや拘りを綺麗な文章にしてコメントを下さり、ありがとうございます！次作も頑張ります！ (2021年10月16日 21時) (
レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - まずはお疲れさまでした！繊細な感情のゆっくりとしたステキな描写が大好きだったので寂しい気持ちもあり、幸せな2人を見て満足な気持ちもあり^_^会社員のミンギュになんか現実感満載で←これ凄い 更に楽しめました！ありがとうございました^_^新作楽しみにしてます！ (2021年10月16日 2時) (レス) id: 2a8565ccfe (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - あやちょるさん» あやちょる様、定期的にコメントしてくださりありがとうございました！そう言っていただけて、本当に嬉しいです。こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございました(；；)次回作も頑張ります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。最後まで楽しんでいただけてとても嬉しいです。私もまる様のコメントに安心して、心温まりました…次回作の応援までありがとうございます。これからも励んでまいります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
あやちょる(プロフ) - 最後までお疲れさまでした。更新が毎回楽しみな作品でしたので、終わってしまうのが寂しいですが…素敵な時間をありがとうございました!新作も楽しみに待ってます! (2021年10月15日 16時) (レス) @page50 id: 702326c54a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏目
| 作成日時：2021年8月30日 7時
