四十一話目【一条玲央 過去編6】 ページ48
「それならよかったです…」
行動の名称でも思い出したのか恥ずかしそうにしているそいつ。
そいつを見ながら先程の抱き締められたことを思い出し……久しぶりに人肌に触れたことに気が付いた。
その事に気が付いた瞬間、負の感情が、きてくる。そんな俺とは違って……こいつには慰めてくれる奴がいるのか。いいな、羨ましい。
母上と最後に話したのはいつだったか?なんで、俺は、愛情を貰えないんだ?こいつは貰ってるのに。ずるい。いや、違う。声やって他人を妬んでで欲しがって、努力もなにもしないでいるからダメなんだ。
「っ、ぁ」
ほんと、俺ってダメだ。父上の言うように使えねぇ。大体こいつと話していること自体が凄いことなんじゃないか?てか、なんでこいつは俺なんかに話しかけてきたんだ?
同情…されるほどじゃない。俺がダメダメだから父上に怒られているだけであって、そう、あり得ない。ダメダメなんだ、優秀じゃなくって使えない。そう、俺は…
「駄目!」
たまに入ってしまうよくわからない震えとともにおきるダメな思考がそいつの声によって中断される。
なにが、と顔をあげたら泣きそう…いや、泣きながらつらそうにしているそいつが俺に、今度こそ、抱きついてくる。
「駄目!そんなこと考えないで!辛いの!悲しいのぉ!ごめんね!わたっ、私が利用のやつ見るようにしちゃったからだよね!ごめんなさい、謝る、謝るからぁ」
人にすがりながら泣いてくる。辛い…?
「凄いの!優秀なの!成績優秀でスポーツ万っのぅ!しょうだっでぇ、もらっで、ずごいのぉ!わだじにはでぎないの!」
凄い、優秀、そんなはずはないのに、ないはずなのに。
「おづがれざま、休んでいぃんだよ?偉いの…!だがら、すごじ、てをぬぎなよぉ!」
お疲れ、休んでいい、偉い、なんで彼女からそんな言葉がでてくるまでになったか、何一つわからない。
でも、でも、何故だろうか、視界が歪んでいるのは。
「俺、偉いの…?」
「うん…! うん…! 」
あまりしらない相手なのに、胸のところが暖かくなってその後は陽葵同様泣いてしまった。泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて、泣きつかれて、気が付いたときには自室の布団の上にいた。
「あ、はははは」
泣きつかれて寝るという始めての体験をした次の日?俺はただ、ただ、気分が晴れていた。我ながらチョロ過ぎる気がするが、それでも陽葵の言葉にだいぶ救われたのだけは確かだった
4人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ららるりな - あははははさん» コメントにきずくのが遅れてしまい申し訳ありません!この作品を拝見していただきありがとうございます!(※idが違いますが同一人物です) (2021年2月23日 13時) (レス) id: 0fefafb472 (このIDを非表示/違反報告)
あはははは - 草 (2021年1月4日 17時) (レス) id: 0050c00856 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ