四十話目【一条玲央 過去編5】 ページ47
「こめんなさい!」
「もう一度」
「申し訳ございませんでしたっ!」
「もういいよ。それで」
頭の手は離されたが心がこもってない、面倒に思わないで、軽く謝らないで、と何度も何度もやり直しを要求された。
途中から面倒に思いながらもそいつの迫力と雰囲気が怖くやり直ししていたが呆れたようなため息とともにやめていいと言われる。
「なんだよ、それでって」
そいつの言い方に苛ついた俺は不機嫌を隠せてないであろう顔でそいつに文句をぶつける。
「あんたはもう、心から謝れそうにないしさもういいかと思ったの」
「そんなことはないない!」
「じゃあ、心のそこから謝れる?」
そいつの言葉になにも言い返せなくなる。確かに俺は悪いことはしたと思っているがなにも起きなかったし、こいつの自業自得………だと思っている。
だから……心の底からと問われると答えは違う。
「ほらぁ、ね?」
違う、そう言い返そうとしたがそいつの目が…呆れて…馬鹿にしているような目で固まりあの時の父上の視線と表情がフラッシュバックする。
「! 大丈…じゃなくって、その、えっと、ごめん! 」
なにか、そいつが言っている気がしたがふわふわと浮いたような感覚に陥り理解ができない。
あわてふためいているそいつと動けないで固まっている俺をどこか他人事のように眺めていたらそいつが敬語を使っていないことに気がついた。
「あ、言葉っ、じゃなくてですね!申し訳ありません!」
頭を勢いよく下げているそいつ。なんで、謝ってんだ…?
「あの、えーと、その、ど、どうしたらいいですか?いや、わからないですよね?」
あわてふためくそいつをみていたらふわふわした状態からゆっくりと戻ってきていたとき、そいつが腕を広げ俺の背中に回してきた。
「だ、大丈夫ですよ…?」
………????
もとに戻ってきていた意識が今度は困惑によって飛んでいき…かけておもいっきりそいつを突き放す。
「なっ、にしてんだお前!」
「いっ」
「わるっ」
悪い、そうやって言おうとしたが慌てたように泣きそうな顔をしたそいつが言葉を被せてきた。
「いっ、家の!家のメイドの一人が私が悲しんでるとやってくることなのです!……ダメなんでしたか?」
「そんなことはっ、ダメではない、驚いただけだ」
迷子の子供のような不安そうな目でそいつは言ってきた。
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小三、陽葵なので、ね?このくらいはしちゃいます
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ららるりな - あははははさん» コメントにきずくのが遅れてしまい申し訳ありません!この作品を拝見していただきありがとうございます!(※idが違いますが同一人物です) (2021年2月23日 13時) (レス) id: 0fefafb472 (このIDを非表示/違反報告)
あはははは - 草 (2021年1月4日 17時) (レス) id: 0050c00856 (このIDを非表示/違反報告)
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