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『だから俺そんなに飲んでないってば。それも四杯目?とかだし』
「嘘だね!電話口でベロベロだったじゃん!」
『そこは俺の演技力よ。山田がー…あっ、』
「俺が?」
『やー、ふふ、なんでもないよ。ほら、飲も』
言いかけた言葉が気になったけれど、聞いてもはぐらかされて教えてくれない。
しまいには『唐揚げとかジャンキーなものこんな時間に食べられない。山田あげる』と、
自分で頼んだくせに全部俺に渡してきてそれに笑っちゃって、結局有耶無耶になってしまった。
楽しい時間で、酒が進んだ。
めちゃくちゃ、進んだ。
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「…うぅーん、…ん、」
『あ、山田。おはよ。目ぇ覚めた?』
「……えっ、あれ、」
開けた視界に映ったのは伊野尾ちゃんで、記憶がごちゃごちゃになる。
ちょっと待って、ちょっと待って…。
これなんかデジャブだ。
前も、こんなこと。その時は、裕翔と、大ちゃんと雄也と。
目の前の彼は頬杖を付きながら、『山田ってお酒回ると寝ちゃう人なんだ?』と笑う。
…顔からみるみる血の気が引いていく。いや、待って。マジで。
「俺、寝ちゃっ、てた…?」
『ふふ、うん。急に電源落ちてったね、スーッて』
「ああっ!ごめん!」
分かりやすく頭を抱えた俺に、彼は寝てたせいでぺたんこになった俺の前髪を手櫛で直しながら、『そういう一面も見れて嬉しいよ』だなんて言うけれど。
(折角、伊野尾ちゃんとの二人きりの時間だったのに…)
心の中で大反省会だ。腕時計を見れば、中々に夜は更けている。
きっともう解散。ああ、寝てしまって終わりなんてアホすぎる。よく眠れたのか頭がすっきりしてるのが悔しい。
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『…ちょっと、お手洗い行ってくるね』と伊野尾ちゃんが席を立った。
俺はもう気分が下がりまくっていて、うんとかすんとか返事をして、すぐ帰れるように机の上の空いた食器を綺麗に端に寄せて片しておく。
スマホを見れば、一時間前に大ちゃんからメッセージが来ていた。ちょうど俺がこの店に着いた頃だ。
『今、ヒカと店で会ったんだけどいのちゃんとご飯食べてるんだって?良かったな』って。
ヒカはいのちゃんと別れてから、こっちに合流したのか。あれ、大ちゃんって今日知念とご飯行ってるんじゃなかったっけか。
…とりあえず。大ちゃんに、聞いてもらうか。
「…良くない。折角だったのに酔っ払って最後の方寝ちゃった。どうしよう、っと送信ー」
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めい(プロフ) - 梓実さん» 梓実さん初めまして。コメント有難うございます!ええ、泣いちゃったところ!どこでしょう! 何考えているのか読めないミステリアスな雰囲気を出せたらなと思っていたので、その感想はとっても嬉しいです! お読み頂き有難うございました! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - Kさん» Kさん、こちらこそコメント有難うございました!同担です〜よろしくお願いします!笑 お話の感想も有難うございます! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - みつこさん» みつこさん初めまして。コメント有難うございます!とってもうれしい感想です〜泣 こちらこそ最後までお読みいただき有難うございました! (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
梓実(プロフ) - とっても面白い作品でした!!思わず泣いてしまうところがあって…あんなに泣いたのは久しぶりです笑一瞬伊野ちゃんが怖かったのですが、なんだか安心しました笑笑 今からもう一度読み直してこようと思います!素敵な作品を、ありがとうございました!! (2020年10月19日 21時) (レス) id: 56b32f15d6 (このIDを非表示/違反報告)
K - お返事頂けるなんて嬉しいです!正直同担なのが嬉しくて勢いで送ってしまっていたので笑お話とても面白かったです!ありがとうございました!! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 30c662d0e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めい | 作成日時:2020年10月4日 19時