隣の伊黒さん。【鬼滅の刃】

かっこいい13 ページ15

「おっ、おはようございます！」


「…おはようございます西村さん。どうぞ、中へ。」


今日は伊黒さんとの約束の日。せっかく買ったからということで、蜜璃に選んでもらった服を着てきたんだけど…やっぱり恥ずかしい。

それに、なんだか今日の伊黒さんは元気がなさそう。友達と喧嘩でもしたのかな…？


「あの伊黒さん、元気ですか？」


「あ、はい。元気です。どうかしましたか？」


「いや、元気なさそうに見えたので…。元気なら良かったです」


元気と言ってはいるものの、お世辞にも元気そうにはみえない。

…でも、ズカズカとプライベートに踏み込むのはよくないよね。元気というのなら元気なんだろう。


「じゃあ、自画像の描き方を教えますね！その後、化学について教えてもらえます？」


「はい、わかりました」


伊黒さんがはい、と言ったのを確認して、私は画材を取り出す。


「まずは鉛筆で下書きをしましょう。目は頭から顎までを二つに分けたら、意外にも下にあって…」



この時間はすごく幸せで、楽しかった。

時間がすぎるのがあっという間で、前に感じていた緊張感なんてどこかにとんでいった。

伊黒さんと手が触れるたびに顔が熱くなっちゃったこともあったけど、その原因はわからない。




美術を教え終わって、化学を教えてもらって、としているうちに、もう夜になっていた。

え、私どれだけ長い間お邪魔してたんだろ、悪いことしちゃった…。


「伊黒さん、今日はありがとうございました！化学についてたくさんわかりました！
もう6時になるので家に帰りますね、本当にありがとうございました！」


「いえ、こちらこそありがとうございました」


私の持ち物をカバンに入れて立ち上がろうとしたその時。




プルルルル



私のスマホが、着信を知らせた。


「…その電話は、冨岡ですか」


「あっはい、義勇のようです。
すみません今すぐ家でますね、ありがとうございました！おやすみなさい！」


「…いえ」


私は、急いで伊黒さんの家を出る。友達とただのお隣さんとの電話なんて、聞いたってなんの意味もないだろうから…。


「もしもし義勇？なんでそんなに電話をかけてくるの？今日なんてタイミング最悪だよ…」


『…A、今から会えるか』


「急だなあ…。わかったよ、いつもの公園で待ち合わせね」


義勇は急すぎるんだよもう…。


もっと伊黒さんと一緒にいたかったなあ…。なんてことを考えながら、私は公園へと走り出した。

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