【REBORN】最弱幹部は息を潜める (ページ24)

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目的23:この感情の名前　〜雲雀side〜ページ24

「…………………………………………………………」

仕事を片付けながら彼女のことを考えていた。

初めて会って戦ったのはグラウンドでの戦いのとき。
そのときは見ないタイプの強そうな男だと思ってたけど。
結局仮面が取れても得体の知れない女の子で。

次に戦ったのは翌日の屋上。
戦いに全く乗り気じゃなかった彼女が
同じサル山のうるさいやつからの激励で
まともに僕と渡り合った。

様々な手が出てくるから戦っていてつまらなくはなかった。
まぁグラウンドでデカブツが暴れ出したら血相変えてそっち飛んで行ったけど。
そちらに行こうとするからプライドないのかと挑発したら

'この程度のことでプライドを持つなんて、
私のプライドが許さない"

ときた。
プライドが高いのか低いのかわからない。
たぶん僕とはプライドをかけるものが違うんだろうけど。

そして彼女が意識を失って倒れたとき
勝手に体が動いて彼女を受け止めてしまった。
彼女の肩は驚くほど細くて軽かった。

こんな体で勝つためにたくさんの嘘と武器で武装して
そこまでして最後にはそれを裏切ったのか。
ただでは済まないことを承知の上で。
そこまでして彼女がかけるものは何なのだろう。

'この名前くらいは覚えて帰ってもらおうかな？"
と言っていた彼女は僕に名乗ることもなく
今も眠り続けているという。
うるさいのが'A"と呼んでいたからそうなんだろうけど。
彼女の自身の声で、聞いていない。

そこまで考えたところで応接室の戸がノックされる。
いまは授業中だし、そもそもここに誰かが訪ねてくるなんてほぼない。

すぐに戸が開き、現れたのは今まさに考えていた彼女だった。

「失礼しまーす」

見たことのある隊服姿で、あたかも並中生のように。

異色の光景だからか、
考えていた彼女が突然現れたから、
昏睡していたのではなかったのか……

色々言いたいことがあるが全て吹き飛んだ。
彼女の「やぁ」と短い挨拶で我に帰る。

「………………よくそんな目立つ格好でここまでこれたね」

できるだろうね。心の中で自問自答する。
彼女もくすりと笑い「できないと思う？」なんて微笑む。

「……じゃあ何しに来たの」

違う、こんなことが言いたかったんじゃない。
体は大丈夫なの(昏睡してたんじゃないの)とか
君は何にプライドをかけてるのとか……！

様々な感情を口に出すことを僕のプライドが邪魔をする。

そんなことなど知らず彼女はにこやかに告げる。

「玉砕されに来ました」