【REBORN】最弱幹部は息を潜める (ページ21)

今日:6 hit、昨日:44 hit、合計:39,096 hit

目的20:空ページ21

『忘れるな。
お前はたくさんの奇跡の上で生かされていることを』

「……………………？」

意識が浮上する直前、
知ってる初めて聞く声が聞こえた気がした。

目を開けると白い天井があり、
まわりを見渡すと白い部屋の中にいた。
腕には点滴の針が刺さっている。
窓からは柔らかい風が入ってきて頬を撫でる。
どうみても病院の1室だった。

死んでない。生きてる。しかも治療済みで。
何が起きている？ボスが処刑しなかった……？
そうだとしても備品等の文字が日本語だから
ここは日本なのだろう。

なんで、治療済みで、日本の病院に、いるの？

思い当たる理由が見つからず途方に暮れる。
とりあえず病室を出てみるべきだろうか
なんて考えたと同時にドアがノックされる。

「え？」「え？！」

私の声が聞こえたのか、驚き慌てた様子でドアが開けられた。
沢田君と黄色のアルコバレーノだった。

「目が覚めたんですね！1週間も意識が戻らないから……」

予想以上に時間が経っていた。
安堵した様子を見るに心配してくれたようだ。

「ありがとう……ございます……？」

飲み込めない事象が多すぎて思わず疑問系になった。
そこから彼にこの1週間の出来事を聞いた。

9代目は一命を取り留め、ヴァリアーは謹慎処分に。
……今のところ私を除いて。

「貴方に空(から)の守護者になってほしい……なぁ、って……」

どんどん声が小さくなっていった。
いや、それよりもなによりも

「……正気ですか？」

この間戦ってた相手側の人間を
味方に引き入れようとするなど疑われても仕方がない。

「大空戦もそうだし、ランボの……雷戦に向けて
あまり怪我させないように、
みたいなこと言ってくれたってことも聞いたし……
それに俺も……もっと貴方と喋ってみたかったし」

慌ててながら、最後の方は消え入りそうになりながら
そう彼は赤くなりながら言った。
こちらまで照れるじゃないか。
自分で言って照れるのはやめてほしい。
人のこといえないかもしれないけど。

「そこまで言っていただけるのなら、
私としては断る理由がありませんね」

彼の手を取り、甲に口付けを落とす。

「改めまして、雲仙Aと申します。
空の守護者として……10代目、貴方と共に在りましょう」

患者衣だしあまりかっこつきませんねぇ
なんて笑ったら、沢田君はさらに顔を真っ赤にしていた。

「そこまで照れられるとこちらも照れるのですが……」
「いや、だって！！」

なんて言いながら笑い合った。