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「いいのか？」
「……はい」
夜蛾の『いいのか？』は、Aの傍から離れようとしないふたりを、どうにかしなくていいのか？という問い掛けだ。
ソファーの両端に、少し距離をとって座っている。
正直離れて欲しいけれど、それを言ったところでどうなるか分からないから怖い。
結局、終始ふたりはAの傍から離れず、話の終わりまでソファーの両端に座っていた。
夜蛾が去って、部屋の中に三人だけの空気が流れる。
とても気まずい。部屋を出ていこうにも、彼等がずっとこちらを見ているので動けない。
「……あ、の」
「ん？なぁに？」
「どうしたのかな」
ニコニコと、青い宝石の瞳が緩む。黒曜石の目が細くなって穏やかな声が響いてくる。
大人になるまでの間で、ふたりに何の変化があったのだろう。
なんのつもりで、笑いかけてくるのだろうか。
「その…何も言わず、消えたのはごめんなさい。…本当に、全部思い出したのでしょうか」
五条と夏油は、再度Aの前に移動して膝を着く。
優しい表情は変わらず、四つ並ぶ眼がこちらを見上げていた。
「全部、思い出したよ。Aには、謝っても謝りきれないし、何より、とても感謝しているんだ。今までずっと、ひとりで頑張ってきたんだね」
夏油の真綿に包むような声が、ゆっくりと発せられる。
ひとつひとつ、噛み砕くように。Aがまた混乱しないように。ゆっくりと。
やめてよ。今更、なんなの。
困るんだ。
そうやって安心させようとしないでよ。
胃の上がギュッと痛む。
悲しさや悔しさ、ほんの少しでもその言葉を信じてしまいたい浅ましさが、ごちゃ混ぜになっている。
「やめ、て」
やっと絞り出した声は、濡れていた。
「やめて、ください。わたしは、大丈夫です。…だから…殺さないで…」
言葉が溢れてくる。苦しくて息が上がる。
これ以上背負いたくなかった。彼等は呪詛師にならなければ、最強で無敵で、仲間思いのいい人達なんだ。
それを知ってるからこそ、苦しい。
憧れさえ抱いたふたりがこれ以上堕ちていく姿を見たくなかったし、何よりもうやり直す気力が無い。
何を考えているのか分からないから、こうして縋って願うことしか出来ない。
「っ…A、ごめんね。…もう、殺したりなんてしない。…そんなこと…絶対に、しないから…」
五条の辿々しい声が聞こえて、ふと視線を向ける。
ふたりはまた泣きそうな顔をしていた。
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妙(プロフ) - 早く続きが楽しみです!泣いちゃいました更新楽しみに待ってます。 (3月29日 23時) (
レス) @page33 id: 53e14be78c (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最高です！！泣きました (3月28日 5時) (レス) id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - とても面白いです！更新楽しみに待ってます！ (3月26日 21時) (レス) @page24 id: 4ea54ee5be (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 面白いです！２４時間が待ち切れない…！明日も楽しみにしております。 (3月23日 21時) (レス) id: f9511cc749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なっしー | 作成日時：2024年3月21日 18時
