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鈴も、他の隠しタネも使い切ってしまった。
前回より用意はしてきたのに、この男の強さはAを遥かに上回る。
当たり前だ、仮にも五条悟を殺しかけたプロなんだ。
懸命に引き止めて、何分…いやそれよりもっと経ったかもしれない。
「ッ…はァ──…はぁ…」
今回も、赤子と遊ぶように簡単に返り討ちにされている。
Aは骨が何本も折れて立っているのがやっとだと言うのに、伏黒甚爾は息一つあげていない。
ずるい。羨ましい。
「大したもんじゃねえか」
初めて、そんなこと言われた。
「…ど、うも」
脳がバグっている。寒いのに暑くて、怖いのに身体は震えない。
死んでたまるかと息をしていく。
呪具を杖代わりにしがみつくAの襟首を、伏黒甚爾が持ち上げる。
「今逃げれば生かしといてやるけど」
なんのつもりだろうか。不意に思いついたから言ってみた、という印象を受ける。
逃げる。にげる…。
(……)
もうろくに力も入らない腕を動かして、伏黒甚爾の腕を掴む。
上手になってしまった笑顔で、精一杯の威嚇をした。
「うるせぇよ、ばぁか」
背後で声が聞こえる。足音が近付いてくる。
心底安堵して、全身の力が抜けていく。
地面に落とされ、体を強打した。
乱暴な人、と今更思いながら重くなる瞼を堪える。
伝えないと。この為に、戻ってきたようなものだから。
「ご、じょう…五条、悟…！」
青い瞳がこちらを向いた。
夏油傑がこちらに向かって走ってきているのを見ながら、Aは叫ぶ。
「伏黒甚爾を殺すな！！」
プツ、と喉から鉄の味がしみていく。
安心した途端に身体中が痛くて痛くて仕方ない。
あ、これ、無理かも。
死にたくないけど。生きてたいけどちょっと痛すぎる。
「死ぬな、死ぬなよ…A…っ」
うん。死なないよ。その為に、私は───。
夏油傑の声と、五条悟の心配そうな顔を最後に、Aの意識は落ちていった。
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妙(プロフ) - 早く続きが楽しみです!泣いちゃいました更新楽しみに待ってます。 (3月29日 23時) (
レス) @page33 id: 53e14be78c (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最高です！！泣きました (3月28日 5時) (レス) id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - とても面白いです！更新楽しみに待ってます！ (3月26日 21時) (レス) @page24 id: 4ea54ee5be (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 面白いです！２４時間が待ち切れない…！明日も楽しみにしております。 (3月23日 21時) (レス) id: f9511cc749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なっしー | 作成日時：2024年3月21日 18時
