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いてもいなくても変わらない存在。
それが羽柴Aだった。
それでいい。本気でそう思っている。今も。
付かず離れず。そうして一年が過ぎて高校二年生になる。
夏が近づいた。
最強と謳われるようになった五条と夏油は親友になって、家入もそんな二人とよく一緒にいる。
Aは、逃げるように任務を詰め込んで距離を取った。
この恐怖が今も続いているから。
理由も知らない何かに突き動かされて、逃げている。
初めて夏油傑とまともに会話をしたのは、夏が過ぎて秋に差し掛かった頃だ。
星漿体を天元様に同化させる任務に失敗したと、風の噂で聞いていた。
なんせその日は任務続きでまともに顔も見なかったから、知らなかったのだ。
帰ってきて久しぶりに見た夏油傑の顔は酷くやつれている。まるで死人のようだ。
自動販売機近くのベンチに座り込んで、恐らくシャワーでも浴びた後なのだろう濡れた髪を放置している。
ぽたぽたと流れる水滴が、涙みたいだ。
あまりに消沈した様子に、Aはさすがに無視出来ず持っていたタオルを差し出す。
少し驚いたように目が見開かれ、『…ありがとう』と小さな声が聞こえた。
「風邪、ひく…から」
「…そうだね。…。…きみ、は」
何か言いたそうに口を開閉させる。名前、覚えられてないんだと思ったけれど、避けていたのはこちらなので仕方ない。
「…君は、非術師をどう思う」
冷たい声だった。何もかも、諦めるようで試されているような。
その質問に、既視感を覚える。
以前も同じことを聞かれた。そんな訳あるはずないのに。
「どうって…守るべき存在、じゃないの？」
「………」
貴方が言っていた言葉じゃないか。
なのに、なんでそんな馬鹿にしたような、諦めたような顔で笑うんだろうか。
また、既視感のある光景に頭が痛くなる。
気まずい。だってどうしたってこの人が怖いのだ。
でも、変に切り上げてまた可笑しな女だと思われたくもない。
「えぇっと……。…なにか、あったら…いってね、それじゃ」
返事は聞きたくない。
どうせあちらも、ろくに顔も見せない人間に話すこともないだろうと思っていたから。
───数日後、夏油傑は離反した。
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妙(プロフ) - 早く続きが楽しみです!泣いちゃいました更新楽しみに待ってます。 (3月29日 23時) (
レス) @page33 id: 53e14be78c (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 最高です！！泣きました (3月28日 5時) (レス) id: a05e9c9f42 (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ - とても面白いです！更新楽しみに待ってます！ (3月26日 21時) (レス) @page24 id: 4ea54ee5be (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - 面白いです！２４時間が待ち切れない…！明日も楽しみにしております。 (3月23日 21時) (レス) id: f9511cc749 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なっしー | 作成日時：2024年3月21日 18時
