知識 ページ14
チーノ目線
やっとの思いでAの元へ行くといつものように膝を抱えて目を閉じていた
チーノ「A、きたでー」
俺の声に反応して目を開け、明かりを頼りにこっちへ這ってくる
チーノ「今日はエミさんからドリル貰ったんよ。
Aも言葉を知っといた方がええって」
ドリルを牢の隙間から渡し出来る限り明かりを近付けて見やすくし、言葉を教える
エミさんはAを可哀想とは思っているが手を出す事が出来ない。悪く言えば弱虫、よく言えば中立
俺はAをずっと昔から知っているからか色々と世話をしてしまう
チーノ「Aはなーんにも悪無いからな
もう少しの辛抱や・・・もう少し」
もう少ししたら皆分かってくれるから
それまでは・・・
『あ・・・あ゛ぁう゛？』
消え入りそうな程小さな声
チーノ「色やね。それは青。あ・おやで？」
ゆっくりと口を動かし口の形を見てるとAはこちらから目を逸らさなかった
チーノ「A？」
『あぁ゛゛お』
Aの小枝のような指が俺の髪を指差し言った
チーノ「これはちゃうよ。これは水色」
Aは違いが分からないとでも言うように首を傾げていたが俺は涙が止まらなかった
そうか・・・そうやんな
知らないんやもんな。全部
俺らの異常がAからしたら普通で俺らの普通がこの子の異常でこの言葉を教わることだってAからしたら意味分からんよな
牢の鍵をそっと開けてAを抱き締めた
何人殺しても慣れずどうしても俺達が眉間に皺を寄せてしまう程の人間特有の悪臭も
血が流れ続ける恐怖も傷口が膿んで熱を持ち身体中から嫌な汗が流れる感覚も全部Aからしたら普通の日常的な事なんやもんな
チーノ「ごめんな？ごめんなっA」
ペタっとした髪を撫でながら優しく抱き締めるがAは恐ろしい物に出会ったかのように震え牢の隅へ体を隠した
そっか、そうやった
Aからしたら優しく抱き締められても安心も糞も無いんやった
自分の掌を見つめていれば涙が出そうになる
Aは様子見をするように此方に目を向けていた
Aの体には包帯が巻かれていてしっかり治療はされていたので安心して牢を出た
チーノ「勉強・・・俺以外にもエミさんも教えてくれるかもしれへんから。頑張ってな」
牢の鍵を閉めて階段を駆け上がりこの階段と廊下を隔てる扉の前で両手を強く握ると片手に纏わりつく大量の髪
チーノ「何がっ何がもう少しやねんっ！」
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たぴくん - めっちゃ続き気になります！更新頑張ってください！ (2022年9月17日 21時) (
レス) @page34 id: f184817549 (このIDを非表示/違反報告)
みずき - えっあ重っえあ、こういう作品好きです、応援しとります、更新頑張ってください (2022年9月17日 20時) (レス) @page34 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
冥界の薔薇 - 更新ありがとうございます！とても続きが気になります！更新頑張ってください！ (2022年8月7日 23時) (レス) id: c3c04812a2 (このIDを非表示/違反報告)
冥界の薔薇 - このような話めっちゃ好きです！他の作品も全て読まさせてもらいました！無理はしない範囲でいいので頑張ってください！応援しています！ (2022年8月2日 9時) (レス) id: c3c04812a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春よこーいw | 作成日時：2022年7月6日 3時
