さよなら、初恋【岸優太】

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「好きです！俺のこと好きになってください！」


「....えっと、誰、ですか？」









これが、私たちの初対面だった。


高校の入学式の次の日、クラスで私を待ち構えていたのは、


見たことすらない男の子で、



私は戸惑いを隠せなかった。









「俺、隣のクラスの岸優太！！あ！優太って呼んで！」


「あ、私はAです」


「Aちゃんね、あの、俺....君に一目惚れしてしまって....」


「えっと、ごめんなさい？」


「や！！待って！まずは友達からでいいから！！」









このやり取りをした4ヶ月後、


夏休みに、私は優太と付き合った。







初めて人を好きになった。






ドジだけど、かっこよくて、


面白くて、誰よりも優しくて。



人見知りの私との距離を


無理やりじゃなくて少しずつ歩み寄って来てくれて、




強がりの私をいつもすくい上げてくれるその綺麗な手に、惚れないわけがなかったんだ。









「ねえ、A」


「なに？」


「もうそろそろさ、俺のこと好きって言って？」









好き、と自覚してから、

1ヶ月程度、



思いっきり態度に現れてた私の心の中なんて、


優太には丸見えだったみたいで。









「すきだよ、俺の彼女になってくれる？」









って、私が欲しかった言葉をすんなりくれた。









「私も.......すき」


「まじで？...超嬉しい」









ふたりで波打ち際の堤防に腰掛けて、



雲ひとつない青い空に照っている太陽の下で、





優太ははにかみながら、


めっちゃすき、って私のことを恐る恐る、


触れるか触れないかくらいの力で、



抱き寄せてくれた。









1秒だって、記憶から抜け落ちたことはない、


私の人生で、1番大切なピース。







それは優太でしかなくて、


それを失ってしまった今、




私の人生が完成することなんて、絶対にないんだ。









「すきだよ」








って、照れながらも、


たくさん私に伝えてくれて、




楽しいことをたくさん教えてくれた。


綺麗な景色も、見えない明日も、





全部全部教えてくれた。









「A！A！」









って、ちょっと鋭い彼の声と、


自分の涙で頬が冷たくて、





目を開けたら、ちゃんと彼はそこにいた。









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