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お別れはあっという間だった。
消えるところを見せたくない、って
優太はバイバイ!って窓からどこかへ消えてしまったから。
最後までベラベラ喋ってて、不意に優太の顔が近づいたかと思えば、
唇に暖かい感触があって。
それが幸せだったけど、
その後ベッドまで行った記憶が無いから、
それは夢だったのかもしれない。
たくさん、泣いて、
記憶が曖昧だ。
気がついたら、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいて、
慌てて支度をする。
目がすごく腫れていたから渋々眼鏡をかけて、
なんとか出社時間に間に合った。
「アキおはよ」
「おはよ。今日ジン休みだからつまんないね」
「あー、そう言えばそうだっけ」
「眼鏡かけてるの珍しいじゃん!」
「気分。笑」
ジンがいたからって、ジンに優太の幽霊が消えちゃったの、なんて言える訳でもないけど。
なんとなく、優太のこと知ってるのが私だけみたいで、悲しかった。
「Aちゃん、マキさんに正式に話通しておいたから。Aちゃん俺と一緒に昨日話したお客様の担当ね」
「はい?」
「いいでしょ?」
「それって平野がいなくなったら私が引き継ぐわけ?」
「あ、それは安心していいよ。俺がホテルに戻る五日前に挙式の予定だから」
それだけ〜、って私のデスクから自分のデスクに戻ったけど。
貼られた付箋に気づかないわけがない。
“ 2時間後、非常階段。
一緒に行ったら目立つから先に行ってて。 ”
そうだ、こいつ私のとっておきの場所を知ってるんだ。
顔を上げて平野紫耀の方を見ても、
パソコンに夢中で私の方なんて見向きもしないから。
溜息をつきながら、
その付箋が誰かに見られないように、
こっそり小さく折りたたんでゴミ箱に捨てた。
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涼杜兄妹(プロフ) - 岸くんの小説初読みがとても素晴らしい作品で、2人だけの結婚式のところめっちゃ泣きました。今後平野くんでどうなるのか楽しみです!応援しています! (2019年4月26日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - はじめまして。読んでいると自分がこの作品の中に入り込んでいくようなもので、岸さんの設定もあり、何度か涙してしまう部分がありました。平野さんとの本編がとても楽しみです。ひとつのドラマのように見れたこの作品がとても好きです。 (2019年4月6日 5時) (レス) id: e8afa57bf5 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。本編があるなんて楽しみです。 (2019年4月1日 2時) (レス) id: 123949a422 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - めっちゃめっちゃ本編楽しみです!私は岸くんが一番すきなので、岸くんの話を読めてホントに良かったです!更新頑張って下さい♪心から応援してます!!! (2019年3月31日 23時) (レス) id: 36d39b543c (このIDを非表示/違反報告)
光彩 - 初めまして。岸くん押しなので気になり読ませていただきました。すごく面白かったです。岸くんが消えてしまってさみしいですが、彼の願い通りヒロインと紫耀くんが幸せになれたら嬉しいです。本編も楽しみにしています。 (2019年3月30日 20時) (レス) id: 44ed791076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ベリナ | 作成日時:2019年3月4日 18時