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ひとしきり泣いた後、
優太に言われて、シャワーを浴びてご飯を食べた。
「なんでいっちゃうの」
「知らねーよ。俺が決めたわけじゃない」
「優太怒ってる?なんか怖い」
「いや別に」
最後なのにこんな感じなのか。
冷たい口調で、目すら合わせてくれない優太が、
私を突き放してるように感じて。
やだ、やだって心では思ってても
何かできるわけでもなく。
耐えられなくなってテレビをつける。
「Aさあ、」
「なに」
「ちゃんと飯食って、ちゃんと寝るんだよ」
「なに」
「それだけしときゃ生きてけんだから」
「うるさい」
「あとは、車に気をつけるんだよ。青信号でも左右見てな。ちょっとでも具合悪かったらすぐ病院いって、あと健康診断もちゃんと受けること」
「お母さんみたいなこと言わないで」
優太の、あの変な怖い雰囲気はいつのまにかなくなってて、
いつもの、優しくて心配性で過保護で、
私のことが大好きって表情に戻っていた。
「あーあと、保険とか積立とかちゃんとすんだよ?貯金自分でできないなら定期預金ね!」
「優太にお金の心配されたくない」
「あんま高いものとかむやみに買うなよ?!外食のしすぎもだめだからな?」
「ドケチかよ、」
「あーとーはー.....んー、まあ大丈夫か?」
今は思いつかねーやって、
頭ガシガシかいて、
天を仰いでる。
その瞳に涙が溜まっているのを見て、
なんだか嬉しくなった。
「優太〜」
「なんだよ〜」
「長生きするから安心していいよ」
「安心はできねーよ!お前変なとこ抜けてるもん!」
「優太に言われたくないから!」
実はね、って
優太が教えてくれたのは、
自分が呼んだくせに、
平野紫耀にめちゃめちゃ嫉妬して、
変な態度取っちゃった、って。
そんな可愛い可愛いヤキモチ。
「優太って地味に嫉妬深いよね」
「めんどくさい?」
「別に、平気」
「ふふ、だって俺のこと大好きだもんな〜」
「自意識過剰だから!」
何回目かわからないこのやり取りだって、
最後になってしまうんだな、って思うと、
優太とのお別れが急にリアルに感じた。
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涼杜兄妹(プロフ) - 岸くんの小説初読みがとても素晴らしい作品で、2人だけの結婚式のところめっちゃ泣きました。今後平野くんでどうなるのか楽しみです!応援しています! (2019年4月26日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - はじめまして。読んでいると自分がこの作品の中に入り込んでいくようなもので、岸さんの設定もあり、何度か涙してしまう部分がありました。平野さんとの本編がとても楽しみです。ひとつのドラマのように見れたこの作品がとても好きです。 (2019年4月6日 5時) (レス) id: e8afa57bf5 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。本編があるなんて楽しみです。 (2019年4月1日 2時) (レス) id: 123949a422 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - めっちゃめっちゃ本編楽しみです!私は岸くんが一番すきなので、岸くんの話を読めてホントに良かったです!更新頑張って下さい♪心から応援してます!!! (2019年3月31日 23時) (レス) id: 36d39b543c (このIDを非表示/違反報告)
光彩 - 初めまして。岸くん押しなので気になり読ませていただきました。すごく面白かったです。岸くんが消えてしまってさみしいですが、彼の願い通りヒロインと紫耀くんが幸せになれたら嬉しいです。本編も楽しみにしています。 (2019年3月30日 20時) (レス) id: 44ed791076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ベリナ | 作成日時:2019年3月4日 18時