さよなら、初恋【岸優太】

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アキと解散して家に着くと、


ソファに体育座りしてしょんぼりしている優太が待ってた。








「優太？なんで今日着いてこなかったの？」


「あー、やー、着いてったよ？Aに姿見せなかっただけで」


「なんで？」


「いいじゃん！とりあえず座れよ！てか飯！飯食べろ！」









優太も優太で様子がおかしい。


空元気で気持ち悪い。









「ねえ、なんかあった？」


「なんもねーってば！」


「じゃあなんでムキになるの？」


「は？！なってねーし！！」


「はいはい。私には言いたくないのね」









優太といれるのも、あとちょっと。


だから、なんとなく、さびしかっただけ。









「あのさ、平野ってやつが言ってた新人？」


「そーそー」


「今日一言も喋ってなかったよな」


「あー、うん。」









会話が、続かない。


ふたりのあいだに重ための空気が流れる。









「俺ね、思うんだけど、Aより可愛い子っていないわけよ」


「は？」


「うん！つまりそういうことだ！」


「意味わからんよ」


「んまあ、だからさ？」









真剣な顔で、私の方に体を向けて、


大きな瞳でじっと顔を見てくる。









「運命の人とか、俺いっぱい焦らせるようなこと言ったけどさ、Aのことが大好きな人と付き合えばいいよ」


「....いないもん」


「いるよ！だって俺が好きになった子だぞ？！自信持て！」


「.....」


「結局はさ、Aのこと大好きなやつは、Aのことちゃんと幸せにしてくれると思うし」









だから、自分のこと大切にしてくれる人をちゃんと選べよって、


親みたいなこと言ってくるから。



思わず抱きしめて欲しくなってその胸に飛び込むけど、




やっぱり触れることはできなかった。









「あー、ごめん。傷付けた、」


「ううん、私が悪い」









「あのね、」








優太が消えてしまう前に。


これだけは伝えておかなければ。









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