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不意打ちで、優しく短いキスがそっと降ってきたところで、
その日の夢は終わった。
「ねえ、優太」
「何?」
朝ごはんを食べている私を頬杖をついて眺めている優太に、
疑問に思ったことを聞くことにした。
「なんで、私に見せる夢は、思い出ばっかりなの?」
「なんでって....だって、俺に過去はあっても未来はねーもん」
さすがに幽霊だからってなんでもできるわけじゃないぞ?!
ありもしないこと見せることはできないの!って
ちょっとプンスカして口を尖らせてる。
「いいじゃん、今の優太とイチャイチャしたいもん」
「今の俺って?」
「え?」
「A、3年前最後に会った俺のこと覚えてる?」
「覚えてるよ」
「俺、なんか変わった?」
あの頃から、
正確には事故にあった日からだけど、
変わってない。変わるはずが、ない。
「な?俺はあの頃から進めないよ。お前まで止まる必要はねーの!」
「別に、そんなつもりじゃ」
「もう、俺のこと待たなくていいんだってば」
「....うるさい」
喧嘩は、得意じゃない。
優太ともほとんど喧嘩はしてない。
でも、不機嫌になって喋らなくなって、
よく優太を困らせてたっけ。
「俺のことは思い出として取っといてよ!たまに思い出してくれればいいから!」
「....うるさいってば」
「俺は、Aの思い出の中でしか生きられねーよ?」
すっかり朝から気分は暗くなって、
仕事にすら行きたくないけど、
今日頑張ったら明日は休みだって自分を奮い立たせて、
なんとか家を出た。
「おはよ、」
「ジンほんとに最近毎日早いね」
「Aの真似〜」
「早く来たら早く帰れるし、いいよね」
「うん、朝はつらいけど早く帰れるの嬉しい」
私もわりと早めに来てるはずなんだけど、
近くのデスクですっかり仕事モードに入ってる平野にジンとふたりで目をやる。
「俺が来た時には来てたよ」
「研修回ってるってことは出世コースなんでしょ。できる男なんじゃん?」
「紫耀いいやつだし。普通に。昨日飲み行って思ったけど」
「へえ」
「もうちょっと興味持てば?」
「なんで?」
「紫耀Aのことめっちゃ聞いてきたから、興味あんのかもよ?」
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涼杜兄妹(プロフ) - 岸くんの小説初読みがとても素晴らしい作品で、2人だけの結婚式のところめっちゃ泣きました。今後平野くんでどうなるのか楽しみです!応援しています! (2019年4月26日 23時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
しゅしゅ(プロフ) - はじめまして。読んでいると自分がこの作品の中に入り込んでいくようなもので、岸さんの設定もあり、何度か涙してしまう部分がありました。平野さんとの本編がとても楽しみです。ひとつのドラマのように見れたこの作品がとても好きです。 (2019年4月6日 5時) (レス) id: e8afa57bf5 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - 初めまして。楽しく読ませていただきました。本編があるなんて楽しみです。 (2019年4月1日 2時) (レス) id: 123949a422 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - めっちゃめっちゃ本編楽しみです!私は岸くんが一番すきなので、岸くんの話を読めてホントに良かったです!更新頑張って下さい♪心から応援してます!!! (2019年3月31日 23時) (レス) id: 36d39b543c (このIDを非表示/違反報告)
光彩 - 初めまして。岸くん押しなので気になり読ませていただきました。すごく面白かったです。岸くんが消えてしまってさみしいですが、彼の願い通りヒロインと紫耀くんが幸せになれたら嬉しいです。本編も楽しみにしています。 (2019年3月30日 20時) (レス) id: 44ed791076 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ベリナ | 作成日時:2019年3月4日 18時