さよなら、初恋【岸優太】

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「さすがにもうちょっと照れてくれないと傷つくわ、俺」


「ジンがあんな色気ある顔できるとか！知らなかった！初めて見た！」


「いや、なんかムードないなって思ってさ」


「じゃあこの後アキ送ってからふたりでホテルでも行く？そしたらムードでるけど」


「無理」









意外とジンがノリノリで、


冗談なのか本気なのかが読めないからはっきり断わっておく。









「俺、上手いよ？」


「どうでもいい」


「あー！ジンが口説き始めた！！」


「一晩、どう？」


「無理だってば」


「いいじゃん、」









近いんだよなあ、こいつ。


さっきから、肩に手回されたまま顔をのぞき込まれてるから、



ジンとの距離は10センチもない。





なんだこれ。






専門学校で仲良くなって、かれこれもう2年以上ジンと仲良いけど


あんまこんな距離にならないから、



どうすればいいのかわからない。









「A！！1発殴れよ！！！」


「あああ！！ムカつく！！！手放せよコラ！！」


「やっぱそいつ嫌いだわーー！！！」









まあでも、優太がそろそろ妬きすぎてキレてるから、


離れようと思って、




ちょっと力強めにジンの胸板を押す。









「ちぇ、」


「ジンふられちゃったね！！」


「女の子なんてちょっと優しくすればみんな俺に惚れるんだけどな」


「ナルシスト」









ジンも、いいやつだから。


優太のことも知ってるし、わたしのことに気掛けてくれてるのはわかる。



まあ、好きって言うのは冗談だと思うけど。









「Aもう帰れよ！」


「送ってもらうんじゃねーよ！！何されるかわかんねーからな！」


「だーー！！もう、そいつ、うぜえ！！」









優太が必死で私のこと帰らせようとしてるし、


お腹もいっぱいになってきたし、




アキはジンに任せて、私は帰ることにした。







送るって言ってくれたけど、


歩きたいって言って断って、





優太がほわほわ浮いてるのをぼんやり眺めながら家まで歩く。







なんだ、意外と近いじゃん、また来よ。






なんて考えてるうちに、


家に着いた。









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