psycho [TOP4] (ページ1)

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初めの笑顔ページ1

ボロボロになった服。

傷だらけの体。

バサバサの髪は雑に切られている。

雨のせいで頬に張り付くからうっとおしい。切るならもっと切ってほしかった、と心の中で悪態をついた。

あそこから逃げ出して、ひたすら走って、いまはどうやら森の中にいるらしい。

足を守るものが何もないから木の枝や葉っぱで切れて血が出ている感じがする。

どこで足を止めたらいいのかも分からず、痛む胸を押さえながらまだ走っていると目の前に明かりが見えた。

あれが何色なのかわからない、だけどいままで感じたことのない暖かい色。

あそこに行きたい。

もし私がもう死んでしまうのなら、あの優しい色に抱かれて死にたいと思った。

この世の闇しか知らないような私でも、最期くらい許してくれるだろう。

もう少し、あと数歩。

手を伸ばせばそれに触れることができるんじゃないかってときに、私は何かに躓いた。

起き上がろうとしても、なぜか起き上がれない。

意識がすっと遠のいていく。

おかしいな、あの家ではこんな怪我よりひどいことをたくさんされてたっていうのに。

打ち所が悪かったのかな。

冷たい雨が私に打ち付ける。

結局私は、死ぬ最期までこんな暗闇の中なのか。

なんか、悔しいな。私だって、もっと

「なあ、なんかドアの前にいねえ？」

「え、うわ本当だ。」

「…気持ち悪。」

「おいおいそんなこと言うなよ。お客さんかもしれねえだろ。」