7話 ページ9
『ははっ、やっぱり気になる？』
グラスを回しながら不敵に笑ったAは、相変わらず掴みどころがなく何を考えているのか読み取れない。
「気になるに決まってる。
散々濁してきたんだからもう教えてくれてもいいだろ？」
『なーいーしょっ』
「いっつもそればっかり！」
まふまふもそらるに同調するように声を上げる。
『何度聞かれても答えはいっしょ。
秘密だよ。』
「じゃあなんで新曲を作ろうと思ったの？」
『うーん』
眉を下げ悩むようなそぶりを見せるA。
『ミクの10歳の誕生日を祝わない訳にはいかなかったから。それに...』
「それに？」
皆、食い入るようにAを見つめる。
『んーやっぱり内緒っ』
「本当は理由なんてないんじゃないの？」
『どうかなー
喋るってなったら歌い手のみんなだけにって訳にはいからファンのみんなにも一緒に伝えることになるな。
まぁ、もう少しでわかるよ』
「どういう意味？」
『お楽しみ。
さっ！今日は飲もうよ！
寝かせておいたワイン、今日は飲んでいいよ。』
重くなってしまった空気を取り払うように努めて明るい声でAは笑った。
「それって、絶対飲むなっていってた秘蔵ワインも飲んでいいの！？」
『いいよー持ってきな。』
「やったー！」
そう言って坂田は万歳をしながらワインセラーに走って行った。
そらるはまだ納得がいっていない様子だったが、これ以上聞いてもAは口を割らないだろうと諦め、グラスに残ったワインを飲み干した。
新しい瓶もいくつか開けられた頃、思い出したように志麻が尋ねる。
「そういえばluzは？」
「聞いたけど来れないって」
「へーluzがA関係の誘い断るなんて珍しいね。」
『あーluzなら今頃レコーディングしてるんじゃないかなー』
「レコーディング？
...まさか！！」
坂田がガタリと椅子を鳴らして勢いよく立ち上がる。
『俺の新曲歌ってくれるんだってー』
そう言ってAは、それはそれは嬉しそうに笑った。
「クッソ先越された！」
「いい加減諦めろよ〜。
そこ競っても仕方ないだろ！
luzさんに勝てたことないんだしw」
「うらただって昔は悔しがってただろ！
くそーなんであんな短時間で仕上げられるんだよ！！」
『ふふっ、皆また歌ってくれる？』
「「もちろん！」」
「やった」
そう言って笑うAはいつも以上にキラキラしていて、休止の理由なんてどうでもよくなってしまうぐらいに綺麗だった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきうさぎ - コメント失礼します。作者様の負担になるようでしたら話は別ですが、僕は皆でハッピーエンドが良いと思います。 (2020年9月20日 1時) (
レス) id: f935ff1209 (このIDを非表示/違反報告)
あお - 個人的にはhappyendが好きなのでhappyendが読みたいです…！ (2020年6月15日 18時) (レス) id: 57a51dc74d (このIDを非表示/違反報告)
匿名主(´・∀・｀) - 初めまして、失礼します。個人的にはhappy endが良いんですが…一回何らかの endで完結させてしまって、その後に場面分岐的な終わり方にすれば良いのではないか。と考えております。作者様に負担が掛かってしまいますし、上からで申し訳ないんですが…考えて頂ければと (2020年6月13日 21時) (レス) id: 610e5b95f1 (このIDを非表示/違反報告)
ペン - 初めまして、今日は。 秘かに読まさせて頂いてます。今更なのですが、 happyendが良いと思ってます。体調に 気を付けて更新頑張って下さい。 (2018年6月24日 11時) (携帯から) (レス) id: c5e8935b6a (このIDを非表示/違反報告)
にょむさん - 個人的にはHappy Endがいいです！ (2018年6月17日 22時) (レス) id: c18b2f6fe2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紺碧 | 作成日時：2017年12月3日 21時
