46話 ページ47
『おはよう八百万さん。
どうしたの？』
「この間の演習でこちらの素材を生成しようとしたのですが、どうもうまくいかなくて...」
広げられたノートには丁寧に、それでいて複雑に纏められた一見すると暗号のような組成式。
終尾はそのノートをじっと見つめる。
『んー.....
空気に触れ続けて酸化するのと、気温で冷やされて固体に変わる途中で構造式が変わるところとか？』
「どこでしょうか？」
『ほら、ここは縮合重合が起こって水だけ取り出されて...』
「なるほど、そういうことだったのですね！」
先ほどまで困り顔だった八百万の表情がパッと明るく晴れる。
終尾の説明を聞き一瞬で理解をしたらしい彼女は、さらさらとノートに追記をしていく。
「ここをこうして...できましたわ！」
『うん、そうだね。
物質変化の途中で化学変化するものは俺もややこしくて苦手だな。
でもそういう物質もあるんだって頭に入れておくと大分違うよ』
「ありがとうございます！色々と応用させてみますわ！」
瀬呂「何あの会話。怖い。」
上鳴「呪文だ」
このやりとりを近くで見ていた2人は、全く理解の追いつかない会話に遠い目をしている。問題が解決した八百万は花が飛びそうな様子でニコニコと嬉しそうな様子でノートを抱きしめている。
『お役に立てたかな？』
「はい、とても！ありがとうございます！」
『よかった、どういたしまして』
にこりと満足気に笑うAの顔を見て、八百万は何処か驚いたような表情を見せる。
「あら？終尾さん、何か良いことでもあったのですか？」
『え？...どうして？』
「あー俺もさっきそれ思ったんだよ！なんつうかいつもより...元気？」
『上鳴まで....』
「はい、なんだかとても幸せそうでいらっしゃるので、何かいいことでもあったのですか？」
言われてみれば確かにそうだ。今までの終尾であればこんなとき何故か『分かりづらかったらごめんね』と言って申し訳なさそうに笑うのだ。
んーと少し考えるような素振りを見せた終尾はしばらくして一つ心当たりがあると口を開く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1326人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
