39話 ページ40
「あっ！
終尾くん！デクくん！
お帰りなさい！！」
両手いっぱいに買い物袋を下げて、買い物を終えた俺と出久は雄英の寮に帰ってきた。
もう日はとっくに沈んでいて、みんな夜の番組を見たり互いに課題をこなしたりするため共同のリビングに出ていたため、図らずも皆で俺たちを迎えるような形になった。
リビングにいたみんなは口々に「おかえり」と俺たちの帰りを暖かく迎えた。
「ただいまー！！」
『...た、ただいま』
かっちゃんに部屋に帰るたびおかえりと迎えられてはいるけれど、今まで誰からもそんな言葉をかけられたことがなかった俺は、未だに誰かから優しく迎え入れられることがなんだか不思議でならない。
ちくり
胸の底が針で刺されたように痛んだ。
するとお風呂上がりだろうか、廊下の奥から首にタオルを下げたかっちゃんがこちらに歩いてくるのが見えた。
俺の姿を捉えたかっちゃんはズンズンと大股でこちらまで歩いてくる。
『お風呂入ってたの？』
「ん」
そう短く答えたかっちゃんは、無傷を確かめるかのように俺の頬にペタペタとふれる。
一通り満足するまで確かめたかっちゃんは、買い物袋を俺の手からするりとぬき取る。
『ありがとうかっちゃん、俺も持つよ』
「許可証、返してきたんか」
『あー...忘れてた』
「部屋に運んどくから先に返してこい」
そう言ってくしゃりと俺の頭を撫でて、買い物袋を持ったかっちゃんは部屋の方へと歩いて行ってしまう。
「本当に爆豪って終尾君のこと大好きだよね〜」
一部始終を見ていた芦戸さんがそう言って優しく笑う。
「まあ気持ちは分かるわ！
終尾いい奴だしいっつも人のために動いてる感じするから、甘やかしてやりたくなるんだよな〜」
ソファーで寛ぎながらお菓子を摘んでいた上鳴がその手に持ったポテトチップスを手渡しながら言う。
皆優しげな視線で俺を見つめた。
まるで、
俺の事が大切だとでも言いたげで....
『...っ俺、職員室行ってくる。
出久も、今日は本当にありがとう楽しかった』
「あ、ううん！僕も楽しかったよ！」
出久の返事が終わる前に、半ば逃げるように寮を出て行く。
何故だか、
あの空間に
優しさが満ちたあの場所に居るのが
どうしようもなく苦しかった。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
