11話 ページ12
昔からそうだ。
かっちゃんと一緒に居たから、いじめられるような事はなかったけれど、
人見知りで内気で、人付き合いの上手くなかった俺に、かっちゃんと出久以外の友達はいなかった。
それに今回は、三年間ヴィランに誘拐された記憶のない転入生という余計な肩書きまでついているのだ。
なるべく関わりたくないだろうな。
昔からそうだったから、他人から向けられる良くない視線に慣れている。
とは言っても、気持ちのいいものではない。
でも大丈夫だ。俺はもう知っている。
誰にも何にも期待せず、何も望まず、うずくまってただ時が過ぎるのを待てばいい。
痛くても苦しくてもそうしていれば、いつか与えられる痛みに慣れる時が来るから。
もう、
勝手に期待して、
勝手に裏切られた気持ちになって、
絶望なんてしたくない。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
終尾が転入してきて早数日。
既に終尾は座学の授業だけではなく、ヒーロー基礎学や実践練習にも参加している。
けれど皆、彼とは二、三回会話をしたぐらいで、深い関係にはなっていない。
彼の人を寄せ付けない雰囲気や、ヴィランだったという事実に臆しているという自覚もあった。
「にしても、ばくごーってあんな顔も出来たんだな！」
爆豪が寮の案内をすると言って、終尾の腕を引き出て行ってしまったため、昼休みの教室に二人の姿は無かった。
上鳴や瀬呂、切島が二人のいない教室で喋っている。
「分かる！終尾の前だとなんか表情柔らかいよな爆豪。」
頷きながら同意する瀬呂。
「爆豪が自分から話しかけるのも珍しいのにな。やっぱり幼馴染みって感じだけど、緑谷とはまた違う関係だよな。」
切島が近くにいた緑谷に話しかける。
「はは、かっちゃんは昔から僕がAちゃんと仲良くするの嫌がってたから...」
「独占欲ってやつか？ ばくごーにもそういうのあんだな〜意外だったわ。
緑谷はそういうのねぇの？」
「Aちゃんは優しくて、僕も大好きだよ。
でも、どうしていいか分からない...
昔みたいにまた仲良くしたいのに。」
どうしていいか分からない
それは皆も同じだった。
彼のことを知りたい、
爆豪のように親しげに喋ってみたい。
けれど皆、最初の一歩を踏み出せずにいた。
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ウタ - 次の展開がどうなるのか楽しみです (2018年7月18日 22時) (
レス) id: 5d727cd1f1 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - めっちゃいい話だと思います！！更新楽しみにしてます！！ (2018年7月16日 8時) (レス) id: 83591e10d1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - ストーリー展開がとても好みだし、文章が、言葉ひとつひとつが綺麗で好きです。本当に素敵な作品ですね！ (2018年6月24日 21時) (レス) id: bc7a356a9c (このIDを非表示/違反報告)
こパンダ - とてもたのしみにしてます。頑張ってください！ (2018年6月22日 17時) (レス) id: 7360b2bbb8 (このIDを非表示/違反報告)
甘露蜂蜜(プロフ) - あああこれは夢主くん弔くんのこと思い出してほしいやつです…！こういうめっちゃシリアス系好きなので展開がすごく楽しみです。頑張ってください。 (2018年6月17日 23時) (レス) id: 817d133cd9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紺碧 | 作成日時：2017年11月13日 21時
