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それから何日かして
旦那様の部屋に呼ばれた。






「隆二、お前 進路はどうするつもりだ?
もうそんな時期だろう。」


「………」


「学費のことなら心配するな。
お前の進みたい道を選べばいい。」









テーブルの上の 学校パンフレットから
視線を上げ、






「進学は考えていません。
卒業したら、庭師になろうと思ってます。」







この屋敷には、“シゲさん”という庭師がいる。
昔から ここの庭にいる人で、もう随分と高齢。

その人について 仕事を教えてもらえば、
きっと何年か後には俺も
一人前の庭師になれるはず。









「庭師になりたいのか?」








庭師になりたいわけでは、なかった。

ただ、それが一番いい選択肢だと思ったんだ。









「進学しない訳は何故だ?」


「………」







「学費のことなら心配するなと言ったろう。
お前の…」


「早く自立したいんです。
婆ちゃんを安心させたい。」






俺がそう言うと、
旦那様は、眉間に皺を寄せた。









「隆二、、
目の前のことだけしか見えてないようでは
駄目だ。

お前の将来だ。
もう一度、きちんと考えてみろ。」




「…………はい。」



















旦那様の部屋を出た俺は、
とぼとぼと、庭を歩きながら
離れへと向かう。







考えてる。
考えてるよ。

考えてるからこその、決断だ。







「おう。隆二、珍しいな。
こんなところで会うなんて…」



「………シゲさん、、」





チョキン、鋏の音を鳴らしながら
声を掛けてきたのは、シゲさん。





よっこいしょ、独り言のように呟いて
シゲさんはベンチに座り、手をこまねいた。






「……ねぇ、シゲさん。
俺を弟子にしてくれない?」






シゲさんの隣に腰掛けて早々、
そう言った俺に
シゲさんは目を丸くした。







「俺、庭師になろうと思う。」






「なぁ、隆二。
あの花は、なんて花か知ってるか?」





風に吹かれて揺れている花を指差すシゲさんに
首を振った。








「それじゃ庭師にはなれない。」


「これから シゲさんについて勉強していけば
きっと覚える。」


「此処は、俺の城だ。
俺が何十年と手塩にかけてきた庭なんだ。
生半可な気持ちで触って欲しくない。」


「………。」




「お前は、この庭を愛してるか?
俺は、愛してる。
この仕事が好きなんだ。

庭師ってのはな、木や花を愛してなきゃ務まらない。その愛情が庭に宿るんだ。
だからこそ、美しい庭になる。」

・→←隆二の場合



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設定タグ:三代目JSoulBrothers , 岩田剛典 , TETSUYA,土田哲也   
作品ジャンル:恋愛
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(プロフ) - りょうちさん» そうなのー。今書いてるの書き始める前かなー?読み返してくれたんですね!ありがとうございます(*´▽`*) (2017年9月13日 16時) (レス) id: 4e300b94c6 (このIDを非表示/違反報告)
りょうち(プロフ) - 花さん!いつの間に更新してたのよー!嬉しいサプライズだよ(*^▽^*) (2017年9月13日 15時) (レス) id: e6319aab1f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - らりるれろんさん» ありがとうございます(*^^*) (2017年8月31日 7時) (レス) id: 4e300b94c6 (このIDを非表示/違反報告)
らりるれろん(プロフ) - そうですよね(^^;臣隆のお話も読ませていただいてますよ(^^)楽しみです!あっ!遅くなってしまいましたがお子様お誕生日おめでとうございます*\(^o^)/* (2017年8月31日 4時) (レス) id: 4dde80cde4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - らりるれろんさん» PowderSnowはもうこれで終わりです。 (2017年8月30日 17時) (レス) id: 4e300b94c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年11月19日 22時

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