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あの出来事があってから、どこかしらAを疑ってみるようになってしまった。そんな自分が嫌で自暴自棄になってきた頃、会社の飲み会で泥酔してしまった。そしてあろうことか、マンションの前で足が絡まって顔から転んでしまった
「ただいま……」
『おかえりなさー………!!大変、どうしたの!?』
「ごめん、マンションの前で……」
ふと、迎え入れてくれたAの顔を見た瞬間、心臓が凍る。
『…………誰かに、やられたの?』
瞳が座った鋭い眼光。頬は下がり、唇は強く閉ざされて。まるで何かを恨むような。思わず口籠った俺に彼女はさらに続けた
『それとも翔太くんの………自分のミス?』
なぜか恐怖を感じた。言えない。自分のせいだとは、決して。咄嗟に酔った頭をフル回転して、安易に繕った嘘。
「…………またあの女が待ち構えてて…」
『あの女って、この前の?』
「そう。それで背中を突き飛ばされて…」
目を合わせられず、緊張して唇は震えていた。それでもそこまで告げた後に見たAの表情は、いつもの優しいものにガラリと変わっていた
『もう〜そうだったんだ!あの人、最低だね!ああ、すぐ手当てしないと』
背を向けて慌てたように部屋に戻っていった彼女の背中に、ふぅ、と安堵の息を吐いた
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数日後の朝、テレビのニュースに映った被害者の写真に目を疑った
──── 昨夜、女性の変死体が発見され……
「っ、!」
背中に、冷や汗が伝う
これは、偶然だ。そうだ。俺は疑心暗鬼になっているだけ。
あの時のAの顔が、頭に浮かんだ
まさか、そんなことは…
そんな俺に追い打ちをかけるように、
アナウンサーが告げた言葉
──── また、遺体の顔には多数の切り傷があり……
──── 背後から何度も突き飛ばされたのでは……
手が震え始める
治りかけてきた頬の傷跡
まさか、あの時の嘘で…?
そんな時、スマホの通知音にびく、と肩が揺れる
恐る恐る、画面を覗いた
A傷跡に効く薬、見つけた!
Aお金のことは気にしないでね
A何よりも大切な翔太くんの肌の為だもん
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kae(プロフ) - 紫陽花さん» 紫陽花様、有難いお言葉感謝です😭怪しい彼氏も読んでいただけたのですね!嬉しい…似ているなんて本当に光栄な限りです。はるのちゃんは永遠に憧れの存在です。好き同士だと似てくるんでしょうか?😂こちらこそ読んでくださってありがとうございます!! (2022年8月25日 23時) (レス) id: ae2feaf230 (このIDを非表示/違反報告)
kae(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様〜!嬉しいコメントありがとうございます!実は私もまたさせていただけるなら…と期待しつつ🙏悪女について沢山の捉え方とストーリーをご提供できて楽しく書かせていただきました!ユッピン様の応援あってこそです。これからもよろしくお願いします! (2022年8月25日 23時) (レス) id: ae2feaf230 (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - 紫陽花さん» 紫陽花様、第1弾の方も読んで下さり有難うございます🙇ぜひ今後ともかえちゃん、そしてはるのの執筆活動を応援して頂けるとすごく嬉しいです☺️またお会いできますように…!! (2022年8月25日 23時) (レス) id: dbb7f3d4be (このIDを非表示/違反報告)
Haruno(プロフ) - ユッピンさん» ユッピン様、こちらにも感想を送って下さり有難うございます🙇😂私もコラボを受け入れてくれたかえちゃんには本当に感謝しています😢読んで下さったユッピン様にも、勿論多大なる感謝です🙇いつも素敵なコメントを本当に有難うございます…! (2022年8月25日 22時) (レス) id: dbb7f3d4be (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花(プロフ) - 完結お疲れ様でした。怪しい彼氏に続いて今作も最高でした。共同制作なのに作風が似ていて、とても読みやすくて楽しませていただきました。素敵な作品をありがとうございました。今後もお二方の作品楽しみにしています! (2022年8月24日 15時) (レス) id: 990636348e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haruno x他1人 | 作成日時:2022年8月10日 21時