魔 性 と 恋 傀 儡 【 雪男 】

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Aの裏の顔を知るものは少ない。バレてしまえば命さえ狙われかねない。なぜなら彼女の手法が女を武器にターゲットの懐に入り、機密情報や息の根を止める秘密を盗むというものだから。それも年がら年中、休む暇もなく。実際にその実行力を評価されて" 敵に回したくない悪女 "などと俺の周りが囃し立てるのだ






『お金が弾むっていうから、照の言いなりに動いてるだけなのに。心外だわ』


「ふは、まぁそうだな」


『今回のあの男だって、いかにも胡散臭い社長よね？何者なの？……どうせ教えてくれないんでしょうけど』


「分かってるなら、聞くなよ」


『だって……』





不貞腐れる表情に俺の口角が上がる。こんな顔を見せるのは俺にだけだろうな




悪女をどう使うかは俺次第。何故そんなことが必要なのか、詳細は伝えない。感情が入ることほど面倒なことはないから……特に今回は。






『相変わらず私は何も知らないまま……上手く操るだけですか……いつになったら自由にさせてくれるんですかね？』


「……返済次第だ」


『もうとっくに元の金額は返してるはずだけど？』


「利息分で膨らみきった分がある。お前がここまでになるまでの投資分もな。何年面倒見てきたと思ってんだよ」


『………ほんと嫌な人』


「………悪かったな」





グラスの酒にひと口手をつける。毒が入っていても可笑しくないくらいAに恨まれているはずだが、今日も俺は死なないようだ





『自分は女を取っ替え引っ替えのくせに』


「あ？」


『有名ですよ？毎日連れてる女が違うって』


「……男が欲しいのか？」


『はぁ？そんなんじゃ、』


「昔約束した通り、欲しいものはなんでも買ってやる。ただ男は駄目だ。夜の相手は俺だけにしろ。他の奴と穴兄弟になんのはごめんだからな」


『こっちだって抱かれたくもない男に束縛されるのは願い下げなんですけど？』


「……贅沢言うな。口塞ぐぞ？」


『そんな脅し、乗りません』


「誰だ？言ってみろ。お前の惚れた男は」


『だからそんな人いな、っんん、ちょっと、』




彼女の首の後ろを掴んで引き寄せてから、強引に唇を奪う



『っ、もう！口紅取れたじゃない…』


「お前は作戦遂行のことだけ考えてろ……それが生かされてる意味なんだからよ」


『……極悪人』


「悪女に言われると、箔が付くってもんだな」


『んん、！』



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