天涯の巫女と付喪神様 二

9話 迎え ページ10

「この日記はお前が持っててくれ」

『でも、これは私より
国広さんの方がいいのでは？』

「いや、俺はお前に待ってて欲しい」

『いいのですか？』

「あぁ、お前なら大切にしてくれそうだからな
あいつの思いが篭ったこの日記を」

『わかりました

確かにお受け取りさせていただきます』




国広さんから受け取った日記
私は表紙をそっと撫でる
彼女の思いが幾つも綴られた日記
いつか
国広さんだけじゃなくて
彼らにも教えられたらいいな
そしたら彼らの中の彼女が
優しさへと変わると思うから
それまでは私が大切に保管しておこう
ぎゅっと抱きしめた日記
それと同時に開いたの襖
私と国広さんはビクゥ！となり
現れた何か、国広さんが私の手を取り
後ろへ隠した

俺の後ろから出てくるな
そう言われ頷いた

いるの！？桔梗！！
その声に聞き覚え、私は国広さんの
後ろから顔を覗かせた





「桔梗ー！！！」

「加州？」

『清光さん！

わっ！？』

「探したんだからね！
熱で倒れたくせに勝手に出歩くの
辞めてくれない！？
どんだけ心配したと思って！」

『ごめんなさい

あ、あの‥く、苦しいです』

「うるさい！
黙って抱きしめられてて！

桔梗の馬鹿‥っ、本当に
心配したんだから」

『清光さん‥ありがとうございます』

「加州くん、桔梗ちゃんいた？

あ、山姥切くん！」

「お前ここにいたのか？」

「あぁ、大倶利伽羅」





清光さんに抱きしめられながら
後ろから来た光忠さん大倶利伽羅さん
良かった、桔梗ちゃん
無事で、光忠さんが微笑んだ
私、ご心配おかけしましたか？と
聞けば、ちょーしたし！なんなの！？
清光さんが答えた
私、今、怒られてるのかな‥？
はぁとため息を吐いた大倶利伽羅さんが
私のそばに

‥まぁ良かった
そう言って、頭を撫でられた
初めて、撫でられた、それに少し嬉しかったり
大倶利伽羅さんを見上げ
探しに来てくれてありがとうございます
そう言えば、光忠がうるさいからなと
そっぽを向いた





「伽羅ちゃん、照れ隠しに
僕を使うの狡いと思うけど」

「ずるくない」

「照れてたんだ？」

「‥照れてない」

『ふふ』

「まぁ桔梗が無事で良かったけど‥

山姥切、なんでこの部屋に？
あいつの部屋でしょ
こんな所いたくないから
早く出よ」

「‥あぁ、そうだな」

『国広さん‥』

「いいんだ、大丈夫だ」





お前が、桔梗が知ってくれてるから
大丈夫だ、俺はもう

この部屋から出られるから

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