天涯の巫女と付喪神様 二

35話 私の事 ページ45

光忠さんの問いかけから
大倶利伽羅さん、加州さんと
立て続けの言葉
なんと言えば良いのだろうか
《桔梗さん》の事は
話してもいいのかな‥

桔梗さんの声に導かれ
私はこちらへ帰って来れた
でも、桔梗さんの事を
話すなら《私の事》を
話さなくてはいけない
話すのが、怖いな‥

―あら？まだ、いたの？
てっきり出て行ったと思ってたのに―
―あぁーやだやだ
同じ空気、吸いたくなーい
あの家に帰ればー？あ、無くなったんだっけ？
それは残念ね―

‥‥思い出したくない。

布団をぎゅっと掴む









『‥えっと、神隠しされて
少しずつ意識が食べれていたのですが
でも、私には
忘れてはいけないものがあって
それは、皆さんで‥！
そう思ったら、ここから出なきゃって思って

それで、気がついたら‥』

「‥今はその《言葉》を信じてやろう、桔梗

でもいつかまた違った《言葉》を
聞かせて欲しい、俺達に

俺達は桔梗の味方だからな」









鶯丸さんがそう紡ぐ


―A、どうしたんだ？―
―お父さん‥ううん、なんでもないよ！―
―お前は《なんでも》隠してしまうね―
―何も隠してないよ‥？―

―お父さんはそんなに信用ないか？―
―そんな事ない！そんな事ないの‥―
―なら、話してほしい
今、お前が隠した事を
お父さんはAの味方だからな―

閉じた目からこぼれ落ちる涙
どうしてかな‥

―あのね、お父さん‥―









『‥っ‥ほんとに、ほんとです‥』

「「「‥‥‥‥」」」









―ほんとに、なんでもないよ！
私、ほら笑ってるよ？
苦しい事もないし、辛いこともないよ？

だからね、お父さん
心配しないで？
私は大丈夫だから―

―A‥―


その会話が最後、私は
お父さんと離れ離れに‥
あの時、打ち明けていたら
何かが変わっていたのだろうか

未来も今も

打ち明けたら‥

36話→←34話 本丸

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す