天涯の巫女と付喪神様 二

元旦 二 ページ35

鏡を見ながら着付けする振袖
まだ、20歳に満たない私には
少し早い成人式のよう

三日月さんが見立ててくれた
青い色の振袖、豪華絢爛に
花々が咲き誇り、お正月のお祝いという事で
銀の帯に羽ばたく鶴の絵柄

彼らの趣味趣向が詰まった物だと
言われてるような

帯締めを締める、最後に帯留めを止めた

万事屋に行った時、清光さんが
選んでくれた《紅梅》

長い髪は結い上げ簪で止める
揺れ動く銀の梅が何とも愛らしい
鏡で最終確認し廊下に出れば
一期さんが待っていてくれた








「桔梗殿、よくお似合いで御座います
とても、お綺麗です」

『あ、ありがとうございます‥//

一期さんもとても素敵です
お着物姿』

「お褒め戴きありがとうございます

いつも洋物なので
こうして着物を着る事が無いですが
なかなか新鮮でよろしいですな」








微笑みそう言う一期さん

さぁ、行きましょう
広間で皆様がお待ちしております
その言葉に私は頷き隣を歩く

着物姿の一期さん、普段見ない姿
だからかな
いつに増して素敵に見え、少しドキドキする
自然と一歩退いてしまう
隣に歩くなんて烏滸がましい！

如何なされましたか？不思議そうな一期さんに
何でもないですよ！と
身振り手振り、そしたら優しく微笑まれた

広間の襖が開かれる、沢山の目が私を射抜く

一期さんと同じくいつもより増し増しで
皆様が美麗過ぎて息が詰まりそうになる
私は緊張しながらも踏み入れた

えっと空いてる席は‥‥






「桔梗ちゃんは上座だよ」

『えぇ‥！？
私が上座ですか！？
いえいえ、座れません！

み、三日月さんどうぞ！』

「何を言う、桔梗
お前は俺達の《主》、それ故上座に座るのは桔梗、お前だ」

『で、でも‥』

「大将だろ？早く座れって
何も気にしなくていいっての」

「ほーら、早く座って座って」






私は恐る恐る足を進ませ、上座の座布団の上へ
正座をすれば私の前に来たのは枡
注がれる香りは日本酒

私、お酒呑めません‥と注ぎ入れる大倶利伽羅さんを見つめれば
形式だ、別に呑まなくていいと
言われた

なんだ形式か、呑むのかと思ったと
胸を撫で下ろした
枡を両手で持ち皆さんを見つめた








『御挨拶が遅れました
皆様方、明けましておめでとう御座います
微力ではありますが
御力添え出来るよう励み精進致しますので
本年もよろしくお願い致します

乾杯です！』






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