天涯の巫女と付喪神様 二

21話 探し物 ページ25

私が大包平様へ手を翳せば
ばちっと鳴ったのは小さな雷音
やっぱり簡単にはダメか‥
そう思いながら、触れられない大包平様を
見つめていた
どうしようかな‥と思考を巡らせる
触れないなら、触らないまま
封じを解くしかないんだけど
帰蝶さんの思いが強い事を感じさせたられた

あの、紙ありませんか？
そう聞けば、紙？紙などどうする？
鶯丸様が聞けば
陣を描くのに使うのです
これくらいの紙があれば
嬉しいです
手で表した大きさ、顎に手を添え
何かを考えていた鶯丸様が
わかった、探してみようと
腰を上げてくれた





「僕らも探そうか」

「そうだな

大きさはこれくらいだったな」

『はい、私も探します』





髭切さん、膝丸さんと共に探す紙
棚を探し出して数分
やはり、私が求めていた大きさの紙は
見当たらない
ないねぇ、他の部屋も探してみようか
そう言って髭切さんが
障子を開ける

兄者、俺は鶯丸とあちらを
探す、兄者は桔梗と
あちらをお願いしてもいいだろうか？
そう言った膝丸さんに
髭切さんは、うん、構わないよと頷いた
じゃぁ行こうか
大丈夫、桔梗の事は僕が守るよ
そう言って私の手を引く髭切さん

自然な動作、私はうっすらと頬を染めた
こうして男性が手を引いて
歩いてくれるのはお爺様とお父さん以来






「何処を探しに行こうかね
桔梗はどの部屋が見たい？」

『危険がない所ですかね‥』

「それもそうだよねぇ
まぁ僕がいるから桔梗に危険がある事は
ないんだけど
でも、やっぱり危険がない所の方が
桔梗もいいよね」

『私じゃなくて
髭切さんが危ない目に遭ってほしくないので』

「僕？
僕より桔梗の方でしょ
僕の心配してくれてるのは分かるけど
もうちょっと自分のこと
気にかける癖をつけないとね

いつか、鬼に食べられちゃうよ？」

『鬼？

桃太郎に出て来た鬼ですか？』

「桃太郎？なにそれは」

『えっと、昔話にあった話で
桃から生まれた男の子が桃太郎で
3匹のお友達を連れて鬼退治に行くんです』

「へぇー
人の子が鬼退治か

その3匹のお友達って？」

『犬、猿、雉です』

「鬼と戦うのにお友達が動物なんだね
桃太郎はそんなにも強かったの？」

『うーん、桃太郎は御伽噺なので
実在しません、子供に読み聞かせる絵本の話です』

「ありゃ、そうなの？」

『はい』

「ふーん、桃太郎かぁ」

『？』

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