天涯の巫女と付喪神様 二

13話 甘いお薬を ページ14

びしっ！と俺っちと一兄を
指さしてくる膝丸の旦那
俺っち、甘やかされてるのか？
そんな覚えないけどな
今までの事を振り返る
追想、俺っちが思い出してる隣で
一兄が、薬研を甘やかしてるなど
致しておりません
むしろ甘えてくれないので
兄としては少し、寂しいものです‥
そう言った
俺っちは、はっ？とした顔で見つめた

私も膝丸殿のように
薬研をやたらと甘やかして
可愛い薬研をお世話したいです
おいおい、そんな事真顔で言うの
辞めてくれよ、勘弁してくれよ
聞いてるこっちがいろいろと
恥ずかしい





「君の薬研自慢はどうでもいい」

「どうでもいい？
鶴丸殿、それについて少々
話し込みましょうか」

「待て待て待て、なんで目が本気なんだ
そして寄るな！」

「鶴丸殿にたっぷりと
薬研の良さを仕込んで差し上げましょう」

「いや、お断りだ！」

「遠慮なさらず」

「遠慮したいから言ってるんだ！
薬研なんとかしろ！
お前の兄貴だろうが！」

「旦那

あばよ」

「はぁ！？」

「どこから話しましょうか
薬研の隅から隅まで話し込みたいので
そうですなぁ」

「じ、地獄だぁ‥」





チーンと何かが鳴った音がした
俺っちは鶴丸の旦那に両手を合わせた
それより話がいろいろと
逸れてるなぁ、はぁ。
俺っちは、大将のそばにより
熱を計る、脈も正常だ
熱に侵された時よりもかなり
良くなっていた
俺っちの薬のおかげだな、うんうん

苦しそうな息遣いでもない
これなら明日にはすっかり
元気な姿を見せてくれるだろう
良かった、熱に侵された時は
冷静を装っていたが、内心、焦っていた
身体が弱い大将、俺っちがしっかりと
見ておかないとまた
無茶されるからな、そっちのほうが
心臓に悪い、本気で勘弁して欲しい

これからは少しずつ遠征にも行って
大将の薬となる薬草も探して
体調管理は俺っちがするか
他の旦那には任せられないしな
ここは本業の出番だな
大将の身体ん中、知るのも
本業である俺っちの役目だからな

大将が起きたら少しだけ
健康診断とやらをしてみるか

大将、全部見せてくれよ？
《俺》だけに、な？

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