天涯の巫女と付喪神様 二

12話 運命の巫女 ページ13

三日月の言葉通りだ
誰かが意図的に桔梗へ
夢を見せてるのだろうか
本当に不思議だ、桔梗は不思議な女だ
だからこそ
惹かれる物があるのだが

そして桔梗が次に見た夢は《帰蝶》
これには俺も驚いたぜ
まさかのあの忌々しい女の夢など
見るなんてな、煮えくり返りそうだ
夢に出てくるとは
次はあの女関連なのか？
今回ばかりはちと面倒だな
あの女の為に戦う刀などないと言うのに
俺の機嫌はすこぶる悪い

あぁ‥憂さ晴らしに遡行軍でも
斬り殺したい気分

むしろ、あの女を斬り殺しもう二度と
現れないようにしたい

血塗れた俺を見るんだ、めでたいだろう？





「まぁ大将に関しては謎が多いな
自分のことを話さないから、特にな

知ってるのは《巫女の生まれ変わり》ぐらいか」

「桔梗は巫女の生まれ変わりなのか？」

「山姥切が知らないのも当然だな

桔梗はとある巫女の生まれ変わりらしい
霊力が強くて清いんだ
だから、開かずの間から三日月を出したし
あの女が付けた忌々しい痕も消えた

一期の闇堕ちも
髭切と伽羅坊がいるのも
桔梗のおかげだ」

「通りで、これで納得がいく」

「俺たちそう思うとさ
桔梗と出会うのって運命だったかもね

すぐに俺を見つけてくれたように
桔梗は俺達にとって《運命の巫女》だったり
そう思わない？」





加州の言葉に皆が顔を見合わせた
そうかも知れない
きっと、この言葉が皆の心にあるだろう
だから尚更、桔梗は俺達が‥いや、
俺が護らなければならない
夢にあの女が現れたなら
俺が護ればいい
お前の毒牙にかからないように
血塗れた俺になろう

んぅ‥。もう、食べれましぇん‥
幸せそうな顔をして
眠っている桔梗を全員で見つめる
寝顔が可愛いなんて思うのは
桔梗以外ないだろう
だが、寝言は可愛くないな





「色気がないな」

「ふふ、食いしん坊な所が
可愛いと思うけど」

「僕の手料理いっぱい食べさせてあげたいな」

「桔梗は、どうやら
花より団子みたいだな、鶴」

「こんな色男たちに囲まれておきながら
食い気とは‥」

「そうか？
俺っちはいっぱい食べる大将が
好きだけどな」

「頬張る姿が栗鼠みたいで可愛いよね」

「存在が小動物みたいですしね」

「確かに
栗鼠なら常に懐へいれて世話をしたい」

「膝丸は甘やかして
ぶくぶく太らせそうだよねー
現に髭切のこと甘やかしてるし」

「俺は甘やかしてなどいない！
兄者の事を思ってるからこそだ」

「それが甘やかなんじゃないのー？」

「一期も薬研を甘やかしている！」

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