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48話 ページ48

刀を振るう手から落ちる血
流し過ぎたせいか、ゆらゆらと揺れる景色
踏ん張る膝が地へ降りる
鶴丸!加州の声が少し
遠くに聞こえた
はは…こんな驚きは、求めてないんだがな…
力無く笑う俺の目に入る刃

ー鶴丸さんー
君の声が聞こえた気がした

ぐっと立ち上がり迫りきた刃を受け止める
顔が歪む程、ずしっときた重さに
傷が痛む、力を絞り押し返せば
鶴丸!加州が俺を庇うように
立つから、やめ、ろ…!加州!
奴の服を引っ張り下がらせる
なにやって…!?
驚いてる顔は好みだ、驚きは俺の心を生かせる
だが、俺の為に君が傷つく驚きは
好かない
揺らぐ視界の中、月が映える戦装束を
纏った男が、遡行軍を斬り倒していた





「みか、づき…」

「お前たちが遅いからな
いつまで経っても来ぬ、だから
迎えにきたぞ、鶴丸、加州」

「遅い…」

「許せ、鶴
探すのに手間取ったんだ
地図にない所にいたのはお前たちだ」

「そうか…地図にない、所にか…」

「鶴!」

「あいつのこと、あまり叱ってやるなよ
三日月…」

「わかった、善処しよう」





倒れそうになる鶴丸を支える
利き腕から流れる血、三日月の旦那!
薬研が懐から出した白い手拭いを
破り止血する、俺の腕の中
意識を寝かした鶴丸
そんな鶴丸の髪を撫でれば
加州を見つめた
怪我はないか?そう聞けば
黙って頷いた加州に、そうかと微笑んだ

怒らないの…?
加州の声に、怒って欲しいのか?と
聞き返したが、だって俺が…!
悔しそうに顔を歪める加州に
俺が言わずとも加州は
ちゃんとわかっているであろう?
なら、俺からは何も言うことはない
お前に怪我なくて良かったと
思っているさ
ポンポンと空いた片手で加州の頭を
軽く叩いた

熱冷ましの実は
源氏の旦那方が採取してくれてる
とりあえず
合流して帰ろうぜ、大将の元へ
薬研が加州に笑いかけた






おまけ



「これ、美味しいのかな?」

「兄者!何でも口に入れようと
しないでくれ!」

「でも美味しそうだよ?」

「美味しそうだよ、ではない!
薬研は薬になると言っていたが
食べ物になるとは言っていないぞ!
体を壊したらどうする!?」

「じゃはい、あーん」

「あーん…って、兄者何故俺の口に!」

「どう?」

「…っ!?」

「甘いの?」

「酸っぱいぞ!
それになんか苦い…」

「……沢山取れたね、いっぱい薬できるね」

「兄者、俺を毒味係に…」

「山高きが故に尊からず
見た目だけで判断してはいけないね」

「……そうだな、兄者」

49話 面影と追想→←47話 楓の飛沫



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三三七拍子 - 源氏兄弟の名前のくだり、もうほんっと大好きです! (2019年6月26日 10時) (レス) id: fda3082ed3 (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - オリジナルフラグ外せば違反にならないから、今のうちに外してしまおう? (2019年1月12日 16時) (レス) id: 9e58c80ee2 (このIDを非表示/違反報告)
夕美 - オリジナルフラグちゃんと外して下さい、違反です。ルールくらい確認しましょう (2019年1月12日 16時) (レス) id: a2860cc4ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベスくん | 作成日時:2019年1月12日 16時

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