天涯の巫女と付喪神様

39話 ページ39

ーAー

誰？私の名前を呼ぶのは…

ーA、起きなさいー

起きる…？

ー早く目を覚ましてあげなさい
貴女を待ってる人達がいるわよー

待ってる人達…？

ー貴女が目覚めるのを心待ちに
してる方達がいるでしょう？
大切な人達、貴女を待ってるわ
だから
早く起きなさい

いつまでも寝てないのー

待って…

ーA、忘れないで
お父さんも私も貴女を見守ってるわ
次に会う時は
貴女が永遠の眠りについた時よ
それまでお別れよ

愛すべき娘、絶え間なく笑顔が溢れますようにー






「…おかあ、さん…」






目尻から零れた涙、睫毛を濡らした
私を置いて行かないで…お母さん…
無意識に伸ばした手を誰かが
掴んでくれる
誰？私の手を掴むのは…お母さん…？

ー桔梗ー

私の名前を呼ぶ声に目が開く
朧気に見えた顔

あぁ、この人は…






「三日月さん…」

「桔梗」

「目が覚めたみたいだね、大丈夫？」

「清光さん…
あの、私、どれくらい寝てましたか？」

「まぁ5日ぐらいじゃない？」

「そ、そんなに…！？」

「そんなに

ずっと死んでるかのように
眠ってたしね」

「だからでしょうか…
お母さんが私を起こしに来たのは」





上体を起こす、ずっと眠っていたせいか
体が痛い、まだ少し眠たい
霊力が回復仕切ってないと言う証拠
あと少し眠れば回復するけど
今はそれ所ではない
女の子としては許し難い事実に直面していた

お風呂、入りたい…
こちらの本丸に来て何日経った？
私、お風呂入ったかな…？
女の子としては許し難い
自分の臭いを嗅げば、くんくんと
臭ってくる清光さんに飛び退く





「な、ななな、なんです…///！？」

「そおね、確かにお世辞抜きで
いい匂いしないね」

「すみません…」

「本丸の風呂は荒れ放題だから
川の水でいいなら
入れるんじゃないかな？」

「兄者、さすがにそれは風邪を引く
桔梗は体が弱い」

「あ、そっか」

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