天涯の巫女と付喪神様

29話 夢 ページ29

ー伽羅ちゃん…
大丈夫だよね？ねぇ、伽羅ちゃんー

男の人が泣いている
誰かの手を握っている

ー伽羅ちゃん、ごめんね
僕のせいで…っ…ー

大きな背中が小さく見えた
すすり泣く彼、横たわる誰かを
抱き上げる
光に包まれた彼は

そして、独りになった…









「！！

また、夢…」






起き上がればはらりと落ちた羽織り
鶴丸さんの白い羽織り
私は、夢を思い出す
一期さんの時も
清光さんの時も
そして、今もこうして夢を見る

夢に出来てきた彼は
今も泣いてるのだろうか？

独りで

桔梗様…？
そばで眠っていたこんのすけちゃんが
起きたようだ
私は、起こしてごめんねと
頭を撫でれば
気持ちよさそうに目を細めている

どうかされましたか？
そう聞かれ
なんでもないよと笑い返した
こんのすけめは
心配です…体を擦り寄せて
見上げてきた






「ありがとう、こんのすけちゃん」

「桔梗様、この
こんのすけめにも出来ることがあれば
なんでもおしゃってくださいね！」

「頼もしいね、こんのすけちゃん」

「桔梗様のためならば！」

「ありがとう」





こんのすけちゃんの体を
優しく抱きしめた
もう一眠りして
夢のことを話そう

1人じゃないと教えもらったのだから

もう、1人で頑張るのはよそう
俺たちに頼れ
月の彼が教えてくれた言葉を
心に刻み
眠りへついた…

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