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27話 差し伸べて ページ27

暗い場所に優しい声がした
顔をあげれば
ずっと開かなかった扉が
開いて、目の前にいる女が
俺を見つけてくれた

審神者に閉じ込められた俺
誰にも見つけてもらえず
膝を抱えた毎日
でも、そんな毎日に
女が現れて
優しく笑ってくれて
俺を呼んでくれた

ゆっくりと女を見つめた
優しく微笑んで
俺の前にしゃがみこんで来た

どうしてここが
わかったの…?そう聞けば
女は不思議そうな顔をしていた
その顔、俺がしたいけどね





「加州様が
教えてくれたんです
俺はここにいるよって
だから、ここに来れたのです」

「…は?
俺が?あんたに?」

「はい、加州様が私に」

「…そうかもね

誰かに早く見つけて欲しくて
俺の魂があんたを呼んだのかもね」

「ふふ、そうですね」

「…てかあんた新しい主ってこと…?」

「はい、そうなりますね
よろしくお願いします」

「ふーん…

あんたは俺を可愛がってくれるの?」

「可愛がる?ですか?」

「そうそう」

「可愛がる…」





目の前で悩んでる女
どうせ、俺なんかに目もくれない
こいつも同じ
気に入った刀だけを可愛がって
俺はお蔵入り
きっと、この女もそう
人間なんて所詮、自分の欲だけで動く

可哀想で残酷な生き物

目を伏せてる俺
そんな俺は次第に驚きの色に変わる





「えっと、こう、ですか?」

「!!」




女が俺の頭を撫でていた
俺は驚いて女を見た

どうでしょうか?
そう聞いてくる女

ふ、ふん!
別に撫でてもらうとか嬉しくないし…
て言うか、あんたの可愛がるって
そう言う事なの?
そう聞けば女は
すみません…
でも、昔にお父さんが
よくこうしてくれてたので
可愛いねっていい子だねって
頭を撫でてもらってました

にっこり笑った女

不覚にもその笑顔に
心が色づいたのはきっと
俺の勘違い
でも
撫でられてる手は





「…悪くないかな」

「何か言いました?」

「別に!
てかいつまで撫でてんの?」

「加州様が笑ってくれるまでですかね」

「ふ、ふん…
あんたに見せる程、安くないから」

「お金、ないです…」

「…じゃぁ、出世払いね」

「頑張ります!」




不思議と嫌な気持ちがない
俺を見つけて微笑んでくれた女
暗い場所にいる俺に
手を差し伸べてくれた

その暖かい手が
これからも俺のそばにありますように

28話 心の名前→←26話 紅い刀



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三三七拍子 - 源氏兄弟の名前のくだり、もうほんっと大好きです! (2019年6月26日 10時) (レス) id: fda3082ed3 (このIDを非表示/違反報告)
ノエル(プロフ) - オリジナルフラグ外せば違反にならないから、今のうちに外してしまおう? (2019年1月12日 16時) (レス) id: 9e58c80ee2 (このIDを非表示/違反報告)
夕美 - オリジナルフラグちゃんと外して下さい、違反です。ルールくらい確認しましょう (2019年1月12日 16時) (レス) id: a2860cc4ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ベスくん | 作成日時:2019年1月12日 16時

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