天涯の巫女と付喪神様

26話 紅い刀 ページ26

ー暗い……誰も俺を見つけてくれない
明かり一つもないから
何も見えない
理不尽過ぎる理由に
閉じ込められた
もう、何日ここにいるかも
わからない

外はどうなってるんだろう？
俺はずっとここに
いるのかな？
誰にも見つけられず
ここにいて、最期を迎えるのだろうか
誰でもいいから
俺を見つけてほしい

俺を暗い場所から出して
俺はここにいるよ…ー









目が覚める、これは
一期さんの羽織り
部屋には私と薬研さんがいた
起きたのか？
薬研さんが私に近寄ってきた

みんなは…？
そう聞けば、他の旦那方は
少し野暮用だ
そう言われた
野暮用…？今だ眠たい頭
薬研さんが私の頭に手を置く
まだ、眠たいなら
寝ててもいいぜ？
そう言われたが
首を横に振った

加州様……加州清光様を見つけたいんです
一期さんの羽織りを綺麗に畳む





「見つけて欲しいって
俺はここにいるよって
そう、夢の中で言ってたの
暗い場所にいて
明かり一つもないって

加州清光様はきっとあそこにいる
私にはわかるの

薬研、一緒についてきて」

「！…あぁ、わかった
大将は俺がしっかり守る」

「ありがとう、薬研」

「あぁ」




一期さんの羽織りをそこに置き
私は薬研と共に部屋を出た
暗い場所に閉じ込められた私だからこそ
わかるの
加州清光様は
きっと、あそこにいるの
1人ずっと

でももう、見つけたから
私があなたを見つけたから
大丈夫ですよ

もう、暗い場所から出れるから









「加州清光様…？」

「俺の名前、呼んでくれるの…？」

「見つけましたよ

加州清光様」

「…俺を見つけてくれたの…？」






暗い場所にいる俺を
見つけてくれて

蔵の扉を開いてくれたのは
薬研を連れた女だった…

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