第121話 ページ26
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「いい子だ」
愉悦の声。
男の一人が攻撃可能範囲まで劉輝に近寄る。
秀麗はなんとかいましめから抜け出そうと頭を振ってもがいた。
そのとき、髪に挿していた簪がぽろりと落ちた。
Aがくれた金歩揺。
秀麗はハッとし、それから唯一自由な足で、迷わずそれを思いっきり蹴った。
しゃん____と一際大きく簪の音が響いた。
男が反射的に背後を振りむいた。
そのとき口に巻かれていた布がようやく外れて、秀麗は声の限りに叫んだ。
劉輝、あんたはまだ行くところがあるでしょっ。
秀「____劉輝っ!それは私じゃないわよ馬鹿ーーーーーーっっっ!!」
.
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劉輝は微笑した。
劉「____分かってる」
次の瞬間、兇手の男二人は自分の胸を剣が突き破っていったのを知った。
口から血を溢れさせながら、男たちはゆっくりと後ろを振り返る。
「……得物は、落としたはずだ……」
劉「鞘だ。____Aは、どこにいる」
劉輝は兇手に、冷酷で非情な目を向けた。
「……ふっ。……この奥だ」
血刀を振り捨てると、劉輝はようやくやってきた臣下に、秀麗を任せた。
秀麗は、走る劉輝に叫んだ。
秀「絶対にAを助けなさいよー!!」
劉「分かってる!」
秀麗は、そんな風に返事をした劉輝を笑顔で見送った。
その彼女が崩れるようにして倒れたのは、その少し後のことだった。
.
.
劉「Aっ!」
Aの名を呼びながら一つの部屋に入ると、そこに横たわっていたのは、青白い顔をした彼女の姿。
部屋に差し込む月の光でその姿はより一層儚く見えた。
劉「A!!」
劉輝はすぐに彼女のもとに駆け寄り、その身体を抱き起こした。
名「、ん、、りゅう……き?」
Aが、酷くだるそうに目を開ける。
劉「Aっ、大丈夫か!?」
名「……えぇ、大丈夫よ。劉輝」
そう答える目の前の彼女は、すぐ近くにいるのに今にも居なくなってしまいそうで
名「劉輝、、秀麗は?」
劉「無事だ。ちゃんと助かったぞ」
名「良かった……。劉輝、ありがと、」
劉「おい、A!?」
真っ青な彼女をしっかりと抱きかかえた劉輝は、陶老師のもとに急いだのだった。
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時