第118話 ページ23
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「……珠翠……それが私の知る兇手ならば、それは間違いなく風の狼です」
「彼女を手駒として動かせるのは、先王陛下と私と、そして____霄太師のみ」
茶太師の目が驚愕に彩られる。
茶「そうか……お前が黒狼…だったのか……」
そして次の瞬間____茶太師は狂ったように笑い出した。
茶「では、あいつは全てを知っていたわけか!私はまた、あいつの手のひらの上で踊らされていたというのだな」
茶「最後の……最後まで____霄____!!」
笑いをおさめると、彼は身を翻した。
茶「お前も、よくぞ今まで我らを欺いてきたものだ。まさか、お前が先王陛下の黒狼だったとはな」
茶「____公子を連れて、行くがいい」
彼はどこまでも彼だった。
どんなことも、彼を彼たらしめるものをいささかなりとも損なわせることはできなかった。
地位も権力も、敗北も、老いも、彼を変えることはない。
彼が拠ってたつのは、その誰より誇り高く勁い心のみ。
毅然とした声で、彼は告げた。
茶「この命、くれてやるのはお前ではない」
背から血を流しながらも揺るがぬ足取りで去る茶太師を黒狼は追わなかった。
黙祷を捧げるかのように瞼を伏せると、黒狼は血まみれた床から静蘭を軽々と抱き上げ、しかしその腿に負った傷を見て眉をひそめた。
再び床へ横たえて応急処置のみを施し、強く殴られて血と痣だらけになった静蘭の顔をそっとなでる。
「……無茶をする。あのままおとなしく気を失っていたら、無傷で助けられたのに……」
「秀麗の方は問題はないだろうが……A殿は大丈夫だろうか……」
呟いた後、うってかわって厳しい顔で黒狼は顔を上げた。
彼にはまだ、行くところが残っていた。
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時