第109話 ページ14
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劉「楸瑛は彼と彼らの身柄を即刻押さえろ。本邸、別邸、ゆかりの地、いずれにも手を入れて必ず捜し出せ」
劉「抵抗は最小限におさえろ。左右羽林軍から人員を割いていい」
劉「必要ならあとで特別手当を出すとでも言って、休暇中の者も引っ張り出せ」
楸「____御意」
きらりと、楸瑛の双眸に嬉しげな光が一瞬宿って消える。
劉「絳攸は、香鈴についていてくれ。邵可にだけは内々にことの報告を」
劉「それと、早急に陶老師以下、医官を全て叩き起こし、藤家に取り継ぎをよろしく頼む」
陶老師は高官位の筆頭侍医だ。
それに、藤家は国随一の医学の家である。
いずれも、まだ朝日も顔を見せない時刻に呼び寄せるなど、気易い立場の者たちではない。
劉輝にもそれは分かっていたが、そんなことも言ってられなくなった。
劉「もう少し慎重に事を進めたかったが、仕方ない。何としても今日中に片を付ける」
劉「____不測の事態が起これば、こちらにも怪我人が出るだろう。すぐに治療に取り掛かれるよう準備させよ」
劉「宮一つ使っていい。薬や物を惜しむなと言っておけ」
絳「わかりました。____ところで主上、行方不明者がもう一人いますね」
劉輝は口を引き結んだ。
絳攸の目が鋭さを増す。
絳「この状況下で、静蘭が行方不明というのはあまりに不自然です。静蘭は____」
劉「____違う」
劉輝は語気荒く絳攸の言葉を遮った。
絳「根拠は?」
劉「ない____けど____」
絳「話になりませんね」
絳攸は短く切って捨てた。
劉輝の顔が歪む。
それでも彼に不信の色は浮かばなかった。
楸瑛は腕を組んで探るように劉輝を見た。
楸「……主上、静蘭には、花を贈らなかったそうですね?なぜです?」
劉「……しなくても、いいと思ったんだ」
劉輝は呟くように言った。
劉「そんなことで心を確かめなくても、静蘭は秀麗やA____余を、裏切らない」
劉「自らの意志で花を受け取ったそなたらが、余のために力を貸してくれることを疑わないのと同じに」
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時